新たな米国楽観論

IAMの2017年ベンチマーク調査の回答者の間では米国に対する見方が好転し、その訴訟制度への信頼感が高まり、それに応じて他国の機会を追求することへの関心が低下した。しかし、USPTOに対する懸念は依然続いている。

年は、米国最高裁判所のアリス判決の影響を何とか受け入れ、米国における特許適格性全般について思案することに終始した年だったとすれば、今年は、事業会社の知財担当経営幹部や特許不実施主体(NPE)の幹部、および専門事務所のアドバイザーにとって、米国市場にチャンスを与える新たな理由を見いだす年になると思われる。IAMの2017年ベンチマーク調査では米国への回帰志向が見られた。とはいえ、米国特許商標庁(USPTO)の審査結果の質には依然として重大な疑念が付きまとう。

しかしながら、米国にチャンスを与える意思のある関係者が増えているように見えるものの、長く待ち望まれた取引形成や価格の回復がまだ実現していないことも明白である。ともかく、今年の調査結果は昨年のそれを補強するものだった。恐らく状況は底まで達したようであり、わずかに上向き始める可能性さえ考えられる。

米国に対する信頼の回復は、特に昨年6月の英国の国民投票によるブレグジットに起因する不確実性の影響で、救済手段として欧州の裁判所や欧州市場を目指す関係者が減少していることに現れている。しかし、欧州が間違いなく先頭に立っている領域は、欧州特許庁(EPO)が付与する特許の品質である。EPOの問題点が広く報じられているにもかかわらず、今回の調査の回答者は、EPOが他の五大特許庁(日本特許庁、韓国知的財産庁、中国国家知識産権局(SIPO)、USPTO)を大きく引き離していると依然感じている。

IAMは、読者が以下のような一連のテーマについてどのように考えているかを見いだすために、2017年2月中旬から3月下旬までの6週間にわたり年次ベンチマーク調査を実施した。

  • 知財の問題に対する企業全体の意識
  • NPEと事業会社の関係
  • 特許価値と評価
  • 知財市場の現状
  • 主要な特許庁の実績
  • 主要な訴訟地
  • 統一EU特許システムの潜在的影響
  • 米国の改革プロセス
  • 知財価値の創出にとって最大の脅威

知財エコシステムにおける立場の違いに応じて、読者間の意見の違いを理解するため、それぞれ特定の層に対象を絞った3種類のテーラーメイドの調査表を作成した。1つは事業会社の知財ポートフォリオ管理者、次はNPE、3番目は専門事務所の弁護士を対象とするものだった。明らかに、IAM読者の全員をこれらのカテゴリーでカバーできるわけではないが、どこかで線引きする必要があった。

調査では800名以上から回答を得たが、その多くは上級職の地位の方々であった。寄せられた回答数はこれまでのこの調査中最大だった。事業会社とNPEそれぞれの回答全体で最大の比率を占めたのは北米の回答者だったのに対し、専門事務所の調査では欧州の回答者が最大だった。アジアについては、事業会社とNPEの代表者からの回答が前年に比べ大幅に増加したが、専門事務所に関してはわずかに減少した。すべての回答者に対し完全に秘密を守ることを保証した。以下では、多くの極めて興味深い調査結果を抽出し、次のようなカテゴリーに分類した。

  • 回答者内訳
  • 知財管理
  • 知財市場 - 購入と売却
  • 知財市場 - ライセンシング
  • 品質と取得
  • 訴訟
  • 単一特許と統一特許裁判所(UPC)
  • 米国の特許改革
  • 権利保有者が直面する脅威

上記の各分野では、事業会社の回答者からの回答を中心に取り上げ、それをNPEや専門事務所の回答者の回答と比較する。結果の中には当然のことながら予想外と思われるものもあるが、決して意外ではないのは、知財市場に関する各人の意見は市場における立場に著しく影響されるということである。

立場による視点がすべてである、という点を心に留めると同時に、IAMの読者層が対象となっている点にも留意していただきたい。IAMの読者は、知的財産をビジネス資産と捉え、知財価値の創出の最先端で活動する人々である。したがって、その見解は知財業界全体における一般的な見解を必ずしも代表しているとは言えない。

回答者内訳

図1.役職(事業会社)

図2.役職(NPE)

図3.役職(特許事務所)

図4.業種(事業会社)

図5.所在地(事業会社)

図6.所在地(NPE)

図7.所在地(特許事務所)

知財管理

昨年同様、事業会社の回答者に広く共通する意見は、引き続き知財ポートフォリオの評価が知財戦略の根幹をなすというものであり、3分の1が業界標準の設定を支持している。結局のところ、保有物の価値を知らないとすれば、また、それを証明して納得させられないとすれば、知財の問題についてどのようにして上級経営陣と有意義なコミュニケーションを図れるだろうか。

過去2回のベンチマーク調査と同様、知的財産から利益を上げる方法を見いだし、その価値を創出することが、事業会社の知財管理者にとって依然として最優先事項である。しかしながら、この場合も、回答者はIAMの読者である可能性が非常に高く、したがって、本質的に知財資産に見いだされる価値およびその収益化の機会を強く意識していると思われる点を銘記しておくことが重要である。言い換えれば、この統計は知財管理の関係者全体を正確に反映してはいない可能性がある。

収益化の重要性は2016年と同等の水準にあり、回答者のほぼ半数が、収益化に関する上級経営陣の圧力の増大を感じると述べている。この圧力は、知的財産に対する最高責任者の関心の高まりを反映している可能性が高く、「首脳陣は知的財産の価値と重要性を認識している」ことに大いに同意する、または同意すると回答した調査対象者は90%に上り、昨年の85%から上昇した。

一方、「会社首脳陣が知的財産に関連する戦略計画に積極的に関与している」という点に大いに同意または同意する回答者の比率は昨年から10ポイント増加して79%になった。この傾向は、昨年回答者が直面する課題リストの中間に位置していた「経営幹部の支援不足」が、今年は最後から2番目に下がったことにも現れている。

図8.知財ポートフォリオの評価に関してどのようなご意見をお持ちですか? (最大3つまで選んでください)(事業会社)

表1.あなたの業務に影響する最も重要な知財の

問題点を3つ選んで順位付けしてください。 (1が最も重要)(事業会社)

 

加重平均

知的財産から利益を上げる方法の発見

1.74

ポートフォリオの保護

1.81

コスト管理

1.93

発明の追跡

1.98

所有している権利の管理

2.07

保持している権利の執行

2.07

ライセンス供与の機会の評価

2.09

人員配置

2.11

M&Aを踏まえた知財の デューデリジェンスの実施

2.12

経営幹部の支援不足

2.27

ライセンス取得の機会の評価

2.3

図9.当社の首脳陣は知的財産の価値と重要性を 認識している(事業会社)

図10.当社の首脳陣は知的財産に関連する戦略計画に積極的に関与している(事業会社)

図11.知財部門に対して、会社の知財ポートフォリオの収益化を求める上級経営陣の

圧力が強まっている(事業会社)

図12.貴組織では、知財戦略と事業戦略はどの程度整合していますか?(事業会社)

知財市場 - 購入と売却

特許を購入した事業会社数は2015年から2016年にかけて急減したが(55%減の32%へ)、今年はわずかに上昇して34%となり、下げ止まったように見える。しかし、売却した事業会社数は27%から24%へと今年も減少した。とはいえ、これは小幅な変化であり、需要という点では、少なくとも当面は市場が底打ちした可能性が高い。

一方、価格については同じことが言えない。昨年は企業の回答者の48%が、価格が下落したと述べた。今年は、36%がさらに下落したと回答しており、NPEではその比率は51%だった(2016年は71%)。2017年の数値は2016年より低下したとはいえ、価格が上昇したとする事業会社の代表者はわずか6%、NPEでは7%であることを考慮すると、この低下はほとんど慰めにならない。

この背後にある理由について見ると、昨年1位だった当事者系レビュー制度が今年も1位になった。事業会社とNPEが共に大きな要因と見ているのは、最高裁判所のアリス判決(2位)と市場における特許の供給増大(3位)である。昨年はどちらもアリス判決を3位とし、2位については、事業会社が標準必須特許の権利行使の困難性増大、NPEが供給増大を選び、相違が見られた。

事業会社とNPEが一致した別の領域は、米国特許が最も望ましいとした点である。しかし、それ以下に関しては違いが見られる。事業会社の場合、次に重要な国は英国と韓国(2016年はドイツと英国)だったのに対し、NPEの場合はドイツと韓国(2016年はドイツとフランス)だった。英国の順位上昇は、ブレグジット後の包含範囲の明確化が求められていることによって説明されると思われるのに対し、韓国の上昇の理由はさほどはっきりしない。韓国企業や特許ファンドの購入活動が活発化していることと関係があるかもしれない。いずれにせよ、今後目が離せない点である。

図13.過去一年の間に貴社は特許を売却したことがありますか?(事業会社)

図14.過去一年の間に NPEに特許を売却した ことがありますか?(事業会社)

図15.過去一年の間にNPEに特許を売却する知財所有企業の数が増えている(NPE)

図16.特許取得に対する貴組織のアプローチに最もよく当てはまるのはどれですか?(選択肢の中から3つまで選んでください)(NPE)

図17.過去一年の間に貴組織は特許を購入したことが ありますか?(事業会社)

図18.過去一年の間に特許を購入した場合、その主な目的は何ですか?(事業会社)

図19.価格に関して、以下のうちどの考えに近いですか? (事業会社)

図20.価格に関して、以下のうちどの考えに近いですか?(NPE)(事業会社)

表2.現在、特許の価格が下落していると考えている場合、その原因をどのように捉えていますか?(3つまで選んで順位付けしてください。1が最も重要)(事業会社)

 

加重平均

PTABの当事者系レビューとビジネス方法特許レビュー・プロセス

1.65

米国最高裁判所が下したアリス判決

1.89

市場における特許の供給増大

1.94

SEPの権利行使の困難性増大

1.97

スマートフォン戦争の沈静化

2.17

米国裁判所が下した他の判決

2.32

表3.現在、特許の価格が下落していると考えている場合、その原因をどのように捉えていますか?(3つまで選んで順位付けしてください。1が最も重要)(NPE)

 

加重平均

PTABの当事者系レビューとビジネス方法特許レビュー・プロセス

1.56

米国最高裁判所が下したアリス判決

1.63

市場における特許の供給増大

1.71

スマートフォン戦争の沈静化

2.14

SEPの権利行使の困難性増大)

2.5

米国裁判所が下した他の判決

2.63

図21.特許を購入するときブローカーを利用しますか? (事業会社)

図22.特許を購入するときブローカーを利用しますか?(NPE)

図23.特許を処分するときブローカーを利用しますか?(NPE)

表4.特許を購入するとき、どの国・地域を優先しますか?(3つまで選んで高い順に1位から順位付けしてください。)(事業会社)

 

加重平均

米国

1.25

英国

2.17

韓国

2.2

ドイツ

2.21

中国

2.35

日本

2.45

フランス

2.46

表5.特許を購入するとき、どの国・地域を優先しますか?(3つまで選んで高い順に1位から順位付けしてください。) (NPE)

 

加重平均

米国

1.62

ドイツ

1.86

韓国

2

日本

2

中国

2.24

フランス

2.33

英国

2.5

知財市場 - ライセンシング

今年の調査結果から見る限り、事業会社に関する状況は非常に矛盾している。一方では、実施料が下落したとする回答者が2016年より大幅に減少している(昨年の16%に対して8%)。他方、実施料が上昇したとする人数も減少している(2016年の4%に対し2017年は2%)。ただし、元々その水準は低かった。

昨年と比べ別の興味深い変化は、米国外の機会を探求していると回答した事業会社が2016年の13%から2017年の9%へと減少したことである。NPEの側ではこの減少がさらに顕著である。すなわち、2016年にはNPEの30%が米国外に目を向けるのが自社の戦略であると述べたのに対し、今回は17%に低下した。この理由として、UPCやブレグジットの結末が依然として不透明なため、米国の特許権者が母国への注目を強めたことや、資源が不十分なため、海外市場への参入がより困難になっていることが考えられる。

しかしながら、これらの調査結果は、特にかつてなく多くのNPEを引き付けているドイツに関する逸話的証拠と食い違っている。言うまでもなく別の説明は、NPEにとって、裁判所における訴訟の防御コストよりも標的企業から得るライセンス料の方が低いという点で、米国で享受できると考えられるレバレッジが他国・地域には存在しないことに、多くのNPEが気付いたということである。

図24.過去1年、事業会社との協働が従来よりも増えた。(NPE)

表6.貴社が特許ライセンサーだとした場合、現在のライセンス環境をどのように特徴付けますか?(選択肢の中から3つまで選んでください)(事業会社)

提訴前に交渉を開始することが困難になっている

20%

ディールフローはこれまでと変わっていない

15%

1年前より当社の取引が増加している

12%

実施料はこれまでと変わっていない

11%

今後1年間、取引市場はこのまま推移すると見ている

9%

米国外の機会を重視している

9%

過去1年で実施料が低下した

8%

1年前より当社の取引が減少している

7%

今後1年間、取引市場が悪化することを懸念している

7%

今後1年内に取引市場が好転すると確信している

4%

過去1年で実施料が上昇した

2%

表7.現在のライセンス環境をどのように特徴付けますか?(選択肢の中から3つまで選んでください)(NPE)

提訴前に交渉を開始することが困難になっている

31%

ディールフローはこれまでと変わっていない

26%

過去1年で実施料が低下した

24%

1年前より当社の取引が増加している

19%

今後1年間、取引市場が悪化することを懸念している

19%

米国外の機会を重視している

17%

1年前より当社の取引が減少している

17%

今後1年内に取引市場が好転すると確信している

14%

実施料はこれまでと変わっていない

12%

今後1年間、取引市場はこのまま推移すると見ている

10%

過去1年で実施料が上昇した

2%

表8.SEPを巡る最近の不確実性が貴組織にどんな影響を与えていますか?(選択肢の中から3つまで選んでください)(事業会社)

SEPの権利行使がより困難になっている

21%

基準設定機関との関係を再検討している

14%

当社はパテント・ホールドアウトを懸念していない

10%

保有特許を標準必須と宣言する可能性が低くなっている

9%

当社にとってパテント・ホールドアップが現実的な問題になっている

8%

パテント・ホールドアップは存在しないと考えている

5%

パテント・ホールドアウトの犠牲になったことがある

4%

保有特許を標準必須と宣言する可能性が高くなっている

4%

SEPの権利行使がより容易になっている

1%

該当なし

62%

図25.過去1年内にNPEと協働したことがありますか?(事業会社)

図26.過去1年間、責任を問われた侵害者が提訴される前に事案を解決することに以前より消極的になっている。(NPE)

品質と取得

これまでの調査では、調査対象の3グループすべてが、付与済み特許の品質の点でEPOを1位とした。この傾向は2017年も同様にはっきりと続いた。審査官に加わる圧力の増大のためサービス水準が低下しているという非難など、EPO内の不備に関する最近のうわさは、今年の調査結果には反映されなかったようだ。この分野におけるEPOの実績を優秀または極めて良好と評価する回答者は、リスト中のどの特許庁よりも多かった。

USPTOの改善を目指すミッシェル・リー氏の取り組みに対する評価は分かれる。USPTOが付与する特許の品質が過去1年間に改善したとする事業会社の回答者は25%弱にとどまり、同様のNPEの回答者は19%、専門事務所の回答者は13%だった。一方、USPTOが提供するサービスを優秀とする事業会社の回答者の比率は、2016年の7%から2017年の13%へとほぼ倍増した。

しかしながら、人数は比較的少ないものの、USPTOのサービスを問題ありとする評価は他のいずれの五大特許庁よりも多かった。また、付与済み特許の品質が過去1年間に悪化したとする批判者の数も最大だった。専門事務所の回答者では、品質が低下したという主張者(12%)は改善したという主張者(13%)とほぼ同数に上った。

これらはすべて中国のSIPOにとって明るい材料である。というのも、USPTOのおかげで順位が上がったため、IAMのベンチマーク調査開始以降初めて、最低品質の特許を付与する特許庁という評価を免れることができたからである。事業会社の回答者の6%がUSPTOの特許品質が低いとしたのに対し、SIPOについては5%だった。NPEでは、USPTOの特許品質が低いとしたのは8%だったのに対し、同じランキングをSIPOに付与したのは6%だった。さらに、専門事務所では、標準以下の特許を付与しているとしたのはUSPTOとSIPO共に6%だった。最後に、累積すると、SIPOが付与する特許品質が過去1年間で改善したと考える回答者は、リスト中のどの特許庁よりも多かった。その比率は、事業会社の回答者では19%、NPEでは24%、専門事務所では17%だった。

当然のことながら、回答者にとって品質は極めて重要であり、事業会社の回答者の33%が、注目点としてこのことをより重視しており、出願率を維持または引き上げるために他より多くの資源を配分していると述べた。調査対象の専門事務所の55%は、総じて特許品質に問題があると考えているが、この数値は昨年の61%よりは低下した。それらの回答者は、低品質の最大の原因としてより迅速な審査遂行の圧力を挙げており、特許庁の人員体制がそれに次いだ。

1年前より多くの 出願を行っている

出願率を維持または 向上できるように、 品質への注力を 強化し、追加のリソースを割り当てている

1年前とほぼ同数の 出願を行っている

将来の収益化の 機会を視野に入れて 出願している

品質をより重視して いるため、出願が 減少している

1年前より出願の 数が減少した

出願数が品質と 同程度に重要と 考えている

品質をより重視する ことを検討しているが、まだ最終決定には 至っていない

選択しなければ ならないとすれば、 品質よりも 出願数の方が 重要と考える

図27.貴社の特許取得に対するアプローチとして最もよく当てはまるのはどれですか?(3つまで選んでください)(事業会社)

図28.クライアントの特許取得に対するアプローチとして最もよく当てはまるのはどれですか?(3つまで選んでください)(特許事務所)

図29.特許品質全般に問題があると考えていますか? (特許事務所)

図30.現在の特許品質に問題があると感じている場合、その主な要因は何だと考えていますか?

(当てはまるものすべてを選んでください)(特許事務所)

図31.貴事務所では、 クライアントに代わり 提出する特許出願の 品質を改善するための 取り組みを実施して いますか?(特許事務所)

表9.以下の政府機関が発行する特許の品質を評価してください(事業会社)

 

優秀

極めて

良好

良好

まあまあ

問題

あり

該当

なし

欧州特許庁

21%

40%

22%

3%

3%

10%

日本特許庁

8%

29%

29%

7%

0%

27%

韓国特許庁

2%

11%

33%

18%

3%

33%

中国国家知識産権局

2%

8%

27%

32%

5%

26%

米国特許商標庁

8%

19%

40%

19%

6%

8%

表10.以下の政府機関が発行する特許の品質を評価してください(NPE)

 

優秀

極めて

良好

良好

まあまあ

問題

あり

該当

なし

欧州特許庁

30%

24%

22%

3%

3%

19%

日本特許庁

17%

22%

17%

8%

6%

31%

韓国特許庁

6%

20%

14%

17%

0%

43%

中国国家知識産権局

3%

17%

20%

14%

6%

40%

米国特許商標庁

16%

11%

32%

16%

8%

18%

表11.以下の政府機関が発行する特許の品質を評価してください(特許事務所)

  

優秀

極めて

良好

良好

まあまあ

問題

あり

該当

なし

欧州特許庁

16%

45%

20%

4%

0%

15%

日本特許庁

6%

34%

24%

7%

1%

28%

韓国特許庁

3%

15%

30%

10%

2%

40%

中国国家知識産権局

1%

11%

25%

22%

6%

35%

米国特許商標庁

6%

22%

34%

17%

6%

16%

表12.以下の政府機関が発行する特許の品質は過去1年にどう変化したと感じていますか?(事業会社)

 

改善した

変わらず

悪化した

該当

なし

欧州特許庁

13%

69%

5%

13%

日本特許庁

9%

58%

5%

28%

韓国特許庁

5%

60%

2%

33%

中国国家知識産権局

19%

53%

1%

26%

米国特許商標庁

24%

54%

12%

10%

表13.以下の政府機関が発行する特許の品質は過去1年にどう変化したと感じていますか?(NPE)

 

改善した

変わらず

悪化した

該当

なし

欧州特許庁

17%

54%

3%

26%

日本特許庁

17%

49%

0%

34%

韓国特許庁

16%

41%

0%

44%

中国国家知識産権局

24%

33%

0%

42%

米国特許商標庁

19%

46%

11%

24%

表14.以下の政府機関が発行する特許の品質は過去1年にどう変化したと感じていますか?(特許事務所)

 

改善した

変わらず

悪化した

該当

なし

欧州特許庁

15%

57%

7%

21%

日本特許庁

9%

55%

2%

34%

韓国特許庁

10%

46%

1%

43%

中国国家知識産権局

17%

42%

3%

38%

米国特許商標庁

13%

54%

12%

22%

表15.以下の機関から受けるサービスを評価してください(事業会社)

 

優秀

極めて

良好

良好

まあまあ

問題

あり

該当

なし

欧州特許庁

19%

25%

26%

9%

5%

17%

日本特許庁

9%

17%

26%

13%

3%

32%

韓国特許庁

4%

11%

27%

16%

1%

40%

中国国家知識産権局

4%

10%

25%

22%

4%

36%

米国特許商標庁

13%

17%

32%

17%

7%

15%

表16.以下の機関から受けるサービスを評価してください(NPE)

 

優秀

極めて

良好

良好

まあまあ

問題

あり

該当

なし

欧州特許庁

14%

23%

17%

9%

3%

34%

日本特許庁

11%

20%

11%

14%

0%

43%

韓国特許庁

6%

12%

21%

12%

0%

48%

中国国家知識産権局

9%

12%

18%

15%

0%

45%

米国特許商標庁

8%

14%

19%

25%

11%

22%

表17.以下の機関から受けるサービスを評価してください(特許事務所)

 

優秀

極めて

良好

良好

まあまあ

問題

あり

該当

なし

欧州特許庁

14%

34%

21%

7%

1%

23%

日本特許庁

6%

20%

22%

7%

0%

44%

韓国特許庁

5%

13%

23%

7%

1%

51%

中国国家知識産権局

4%

12%

24%

11%

3%

47%

米国特許商標庁

9%

22%

25%

15%

6%

22%

訴訟

2016年の調査で極めて明瞭になったドイツと米国のトップ争いは、今年の回答においても激しく続いている。しかし、米国が盛り返している。事業会社の場合、米国が依然としてあらゆる点でトップに立っており、どの国・地域の裁判所を最も信頼しているかという質問では突出した1位だった。昨年は、事業会社の38%が米国を選好し、36%がドイツを選んだ。今年は米国48%、ドイツ33%という結果になった。これは、ドイツの裁判所に持ち込まれる特許が増えているという事実と関係があるだろうか。多分そうだろう。しかし同時に、ドイツは依然としてNPEが最も信頼する国・地域であるものの、米国が差を縮めていること(2016年はドイツ53%、米国29%、2017年はドイツ42%、米国32%)に注目すべきである。

米国の事業会社とNPEのどちらも、特許適格性に関する最高裁判所の一連の判決によって引き起こされた疑念、および特許審判部への対応の全般的な不透明性に対処し始めている可能性がある。経験と知識がさらに12カ月積み上げられた結果、恐らくどちらのグループも、母国の状況がどのように進行するかに関して自信を深めていると思われる。現在、ソフトウェア特許の権利行使に関する懸念が、連邦巡回区控訴裁判所によって幾分解消されたように見えることを踏まえれば特にそう言える。

図32.以下のうち、知財訴訟で金額に見合った最良の価値を提供する国は どこですか?(事業会社)

図33.以下のうち、知財訴訟で金額に見合った最良の価値を提供する国は どこですか?(NPE)

図34.以下のうち、知財訴訟で金額に見合った最良の価値を提供する国は どこですか?(特許事務所)

図35.以下のうち、最も完全な訴訟制度を備えている国はどこですか?(事業会社)

図36.以下のうち、最も完全な訴訟制度を備えている国はどこですか?(NPE)

図37.以下のうち、最も完全な訴訟制度を備えている国はどこですか?(特許事務所)

図38.以下のどの国の訴訟制度を最も信頼していますか? (事業会社)

図39.以下のどの国の訴訟制度を最も信頼していますか?(NPE)

図40.以下のどの国の訴訟制度を最も信頼していますか?(特許事務所)

図41.貴社が経験するNPEによる権利侵害主張の件数は 減少していますか?(事業会社)

図42.どの国がNPEからの提訴に対して最も友好的ですか?(NPE)どこですか?(NPE)

単一特許と統一特許裁判所

昨年の調査以後、2016年6月23日の国民投票でブレグジットを決定したことにより、英国の有権者は単一特許制度の進行に幾分混乱を引き起こした。英国政府は、欧州連合からの離脱決定にもかかわらず、今なおUPC協定を批准する意向を表明しているものの、今年の回答者の多くは、2017年末までにあるいは2018年中にさえ始動するかどうか疑問を抱いているように見える。実際、事業会社の57%は、英国の欧州連合離脱が予定される2019年までにUPCが施行されるとは考えていない。NPEの64%、専門事務所の弁護士の59%が同様に感じている。

準備に関しては、事業会社の34%がUPCに対する計画を慎重に立てていると述べたが、この比率は昨年と変わらない。一方、積極的に準備していると答えた比率は10%から11%へと1ポイント上昇した。事業会社の回答者の32%が、UPCが発足した場合、世界の特許訴訟に関して欧州がより重要な中心地になると考えているが、この比率は2016年の41%を下回った。NPEにも同様の傾向が見られ、25%が、UPCにより特許訴訟に関して欧州の重要性が高まると答え、その比率は昨年の30%から5ポイント低下した。

これらの調査結果は全体として、欧州に対する熱狂が2016年ほどではなくなったという、今回調査の他のセクションに見られた事実を補強するものである。英国について言えば、大半の回答者はブレグジットから影響を受けていない。しかし、欧州連合からの離脱により中心地としての英国の重要性が上昇するよりは低下したと感じる専門事務所と事業会社が増えている。これは、離脱に向けて本格的交渉の準備をしている英国にとって多分聞きたくないメッセージだろう。

図43.新たなEU統一特許に対して積極的に計画を立てていますか?(事業会社)

図44.新たなEU統一特許に対して積極的に計画を立てていますか?(事業会社)

図45.欧州の統一特許裁判所制度はいつ発足・施行されると考えますか?(事業会社)

図46.統一特許裁判所制度についてどんな見解をお持ちですか?(3つまで選んでください)(事業会社)

図47.欧州の統一特許裁判所制度はいつ発足・施行されると考えますか?(NPE)

図48.統一特許裁判所制度についてどんな見解をお持ちですか?(3つまで選んでください)(NPE)

図49.欧州の統一特許裁判所制度はいつ発足・施行されると考えますか?(特許事務所)

図50.統一特許裁判所制度についてどんな見解をお持ちですか?(3つまで選んでください)(特許事務所)

図51.ブレグジットは貴社の欧州知財戦略にどんな影響を与えますか?(3つまで選んでください)(事業会社)

図52.ブレグジットはクライアントの欧州知財戦略にどんな影響を与えると予想しますか?(3つまで選んでください)(特許事務所)

米国の特許改革とトランプ政権

米国最高裁判所のアリス判決が多くの回答者の知財戦略に重大な影響を与えたことはほとんど当然と言える。事業会社の3分の1以上(36%)、NPEの半数以上(51%)が、判決の影響が大きかったことに同意している。最も多く報告された影響は、事業会社かNPEかを問わず、権利保有者によるソフトウェアおよびビジネス手法特許の出願が以前より減少したことである。当然、アリス判決に対する評価はNPEの間で最も低く、それによって恩恵を受けたと主張するNPEの回答者は全くいなかった。

全般に、NPEの回答者が描く状況はかなり暗く、現在の米国の環境はNPEにとってかつてなく厳しいという点で概ね一致している。しかし希望の灯も存在する。この質問に対する2番目に多い回答は、新セクターにおいて事業機会が現れつつあるというものだった。さらに、NPEの回答者の68%が、トランプ政権が特許問題に対して前政権より特許重視のアプローチを取るだろうと期待している。こうした受け止め方は事業会社の回答者の59%にも共通している。しかしながら、トランプ大統領はこれまで知的財産についてほとんど発言していないことから、実のところそれは事実に基づく期待というより希望にすぎないと言うべきである。この希望が実現するかどうかは今後を待たなければならない。

図53.最高裁判所のアリス判決は貴社の知財戦略に大きな影響を与えましたか?(事業会社)

図54.最高裁判所のアリス判決は貴社の知財方針と戦略に大きな影響を与えましたか?(NPE)

図55.最高裁判所のアリス判決は貴事務所の知財 実務に大きな影響を与えましたか?(特許事務所)

表18.与えた場合、どの分野が影響を受けましたか?(上位3つを順番に選んでください)(事業会社)

 

加重平均

現在ではソフトウェアとビジネス方法 関連の出願が減少している

1.48

ポートフォリオが判決からどんな影響を受けたかを評価するためにその調査を実施した

1.6

ポートフォリオが判決からどんな影響を受けたかを評価するためにその査定を実施した

1.75

アリス判決から悪影響を受けた

1.84

アリス判決から恩恵を受けた

1.85

ソフトウェアとビジネス方法のイノベーションについてはもはや保護を求めていない

1.88

表19.与えた場合、どの分野が影響を受けましたか?(上位3つを順番に選んでください)(NPE)

 

加重平均

現在ではソフトウェアとビジネス方法 関連の出願が減少している

1.5

ポートフォリオが判決からどんな影響を受けたかを評価するためにその調査を実施した

1.67

アリス判決から悪影響を受けた

1.75

ポートフォリオが判決からどんな影響を受けたかを評価するためにその査定を実施した

1.9

ソフトウェアとビジネス方法のイノベーションについてはもはや保護を求めていない

2.14

アリス判決から恩恵を受けた

0

表20.与えた場合、どの分野が影響を受けましたか?(上位3つを順番に選んでください)(特許事務所)

 

加重平均

現在ではクライアントのソフトウェアとビジネス方法関連の出願が減少している

1.6

クライアントがアリス判決から悪影響を受けた

1.65

クライアントがアリス判決から恩恵を受けた

1.74

クライアントが、ポートフォリオが判決からどんな影響を受けたかを評価するためにその調査を実施した

2

クライアントが、ポートフォリオが判決からどんな影響を受けたかを評価するためにその査定を実施した

2.2

ソフトウェアとビジネス方法のイノベーションについては、保護を求めることをもはやクライアントに助言していない

2.37

図56.米国における更なる立法上の改革の必要性についてどのような見解を お持ちですか?(事業会社)

図57.米国における更なる立法上の改革の必要性についてどのような見解を お持ちですか?(NPE)

図58.米国における更なる立法上の改革の必要性についてどのような見解を お持ちですか?(特許事務所)

図59.トランプ政権は特許の問題に対してオバマ政権と異なるアプローチを取ると予想しますか?(事業会社)

図60.「はい」の場合、新政権は次のどれに該当すると予想しますか?(事業会社)

表21.現在の米国におけるNPEを取り巻く事業環境をどのように分類しますか?(上位3つを順番に選んでください)(NPE) 

加重平均

NPEであることがかつてないほど困難になった

1.2

新セクターにおいて事業機会が出現しつつある

1.33

以前とほぼ変わらない

1.57

状況がはるかに困難になると予想する

1.67

最近の裁判所の判決や法律制定がNPEに新たな機会をもたらした

2

今後活動するNPEは減少すると予想する

2.14

NPEとの協力を目指す事業会社が増加する

2.67

特許権者に有利な方向に振り子が戻ると考える

2.69

分散化されたポートフォリオが一段と重要になる

2.71

図61.トランプ政権は特許の問題に対してオバマ政権と異なるアプローチを取ると予想しますか?(NPE)

図62.「はい」の場合、新政権は次のどれに該当すると予想 しますか?(NPE)

図63.トランプ政権は特許の問題に対してオバマ政権と異なるアプローチを取ると予想しますか?(特許事務所)

図64.「はい」の場合、新政権は次のどれに該当すると予想 しますか?(特許事務所)

脅威

やや意外なことに、今年は事業会社にとってNPEの脅威がトップの座を占めた。これまでトップだった資源不足は2位に滑り落ちた。NPEは、米国の業務環境がこれほど厳しくなったことはかつてないと回答しており、事業会社の懸念は、最近多くのNPEが力を入れているアジアや欧州などの他地域でより一層大きくなっていると推測される。今年調査への回答数が増加したアジア企業は、これまで常に米国におけるNPEの訴訟において格好の標的とされてきた。

事業会社の回答者にとって取締役会の関心の欠如に関する懸念は、昨年強い不安要因だったのに対し、今年はほとんど無視できる程度になった。また、かなりの比率の企業回答者が、米国最高裁判所のアリス判決が自社の知財戦略に影響を与えたと述べていたにもかかわらず、訴訟費用、特許庁における処理の遅れ、さらには特許軽視の感情など、他の多くの考慮事項よりも重要性がずっと低かった。

また特許軽視の感情は、NPEを眠れないほど心配させる懸念事項のリストで、訴訟費用、資源不足に次ぐ3位に浮上した。事業会社の回答者の意見と同じように、NPEの回答者の大半が調査の前半で、アリス判決が自社の知財方針や実務に大きな影響を与えたと答えているにもかかわらず、脅威の全体的な構図の中では、判決はほとんど重要とされなかった。実際、昨年の4位が今年は最下位となり、重要性が大きく低下した。他のセクションの回答に示されるように、多分これは人々がニューノーマルに慣れてきたことを示す一例である。

表22.現在の貴社の知財ポートフォリオにとっての脅威を、最も重大なものから順に3つ挙げてください(1が最大の脅威)。 (事業会社)

 

加重平均

NPE

1.67

資源不足

1.71

訴訟費用

1.75

世界の一部における特許 軽視の感情

1.79

付与される特許の品質

1.87

特許性を取り巻く不確実性

2.04

SEPに対する敵視の高まり

2.09

特許価値の下落

2.24

主要特許庁における処理の遅れ

2.28

米国最高裁判所が下したアリス判決

2.33

取締役会の関心の欠如

2.33

表23.現在の貴社の知財活動にとっての脅威を、最大のものから順に3つ挙げて ください(1が最大の脅威)(NPE)

 

加重平均

訴訟費用

1.67

資源不足

1.73

世界の一部における特許 軽視の感情

1.75

付与される特許の品質

1.86

NPE感情

2

特許性を取り巻く不確実性

2.31

SEPに対する敵視の高まり

2.5

特許価値の下落

2.5

米国最高裁判所が下した アリス判決

2.86

表24.現在の貴事務所のクライアントの知財ポートフォリオにとっての脅威を、 最大のものから順に3つ挙げてください(1が最大の脅威)(特許事務所)

 

加重平均

訴訟費用

1.64

資源不足

1.81

主要特許庁における処理の遅れ

2.01

取締役会の関心の欠如

2.03

特許性を取り巻く不確実性

2.05

世界の一部における特許 軽視の感情

2.08

特許価値の下落

2.22

NPE

2.29

米国最高裁判所が下した アリス判決

2.31

ジョフ・ワイルドは、英国のロンドンに拠点を置くIAMの編集長、サラ-ジェイン・クローバーは同シニア・レポーター。

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