グローバル知財市場の 支配者

高額で革新的な取引、新しい価値創造の捉え方、最先端の思考によるリーダーシップを有したエリート集団が国際知財取引市場を牽引している。IAMマーケットメイカー2015をここに発表する。

I AM第66号(2014年7/8月、61~75頁)に最初のマーケットメイカー・ランキングが発表されてからの16ヶ月の間に知財市場は劇的に変化した。我々がトップ40の名を挙げた1ヶ月後、米国最高裁判所はアリス判決を言い渡したが、これによってソフトウェア特許の存続可能性が疑問視され、特許訴訟の多くの原告が第101条適格性の議論によって窮地に立たされ、深刻な不確実性の新たな時代の幕開けとなった。それまでの多くの連邦巡回裁判所および最高裁判所の判決や特許審判部(PTAB)の活動と並び、この判決によって、潜在的なライセンシーが訴訟開始前に交渉の席に着こうと考える動機はずっと少なくなり、米国における使用許諾活動に萎縮的効果がもたらされた。

その一方、我々は、特許売買実施件数の増加についてもレポートした。アライド・セキュリティー・トラスト(IAM第69号、45~51頁)とリチャードソン・オリバー・ロー・グループ(IAMブログ、2015年5月1日)は、2014年および2015年にかけて取引活動が増加したことを示す調査を発表した。しかし、IAMのベンチマーク調査(第72号、56~73頁)では、価格は膠着状態が続き、下落の可能性すら示唆された。米国は買い手市場と考えられ、この状態が短期的に変化する兆しはない。

米国での取引交渉が困難になるにつれて、世界の他の地域においてその増加が見られるようになった。ヨーロッパ、特にドイツが、魅力的な高額訴訟地として浮かび上がっているが、新たな統一特許および統一特許裁判所が動き始めると、この傾向はますます強まるだろう。一方アジアでは、価値の高いポートフォリオを取得してライセンス・インを行うだけではなく、社内および第三者パートナーとの間で独自の収益化プログラムの開発も行う企業の数が増えている。

こうした傾向を見ると、我々の2015年のマーケットメイカー・リストからNPE(特許不実施主体)幹部や投資家の数が減り、事業会社の上級幹部の数が増えているのは大して驚くことではない。地理的な内訳も変化し、トップ40のうち北米企業は減り、欧州やアジアを拠点にする者が増えた。ただ変わっていないのは、選ばれた個々の能力である。

我々にとって、IAMマーケットメイカーは世界の知財市場の主たる牽引者である。客観的な指標を用いて彼らを特定したのではなく、その選択は我々自身の観察や報告されている取引活動および市場参加者との会話に基づいて行った。もちろん、判定は公に入手可能な情報に基づいてしか行うことができない。内密に行われた取引や公表せずに展開された革新的な戦略は、その性質上、我々のレーダーに検知される可能性が低く、そうした行動について我々が知ることはない。

したがって、挙げ損じた名前もあるだろうし、登場順はもちろんのこと、その選択は誰もが納得するものではないことは確かである。しかしながら、我々の努力が未だ極めて不透明な市場に光を当てようとする誠実な試みであることを認めていただけたら幸いである。

40 ロン・エプスタイン、エピセンターIPグループ

ウィルソン・ソンシーニ・グッドリッチ&ロサーティ法律事務所やインテル社内での任務を含むキャリアを通して磨かれた経験、ライセンシングに関する専門的知識、取引交渉の才覚を合わせ持つロン・エプスタイン氏に匹敵する者は市場にほとんどいない。エピセンターIPグループ設立以降の同氏の最大の成功は、スペインの電気通信企業フラクタスのライセンシング・キャンペーンを大成功させた立役者としての役割にあった。エプスタイン氏は、そのキャリアを通じて、合わせて150件以上の取引の成立を指揮し、10億ドルを超える売上やライセンス収入を生み出した。こうした実績によって同氏は特許市場における頼れるアドバイザーの1人に選抜された。

39 ジェラルド・ホルツマン、パーソナライズド・メディア・コミュニケーションズ

ジェラルド・ホルツマン氏は、1996年から2014年まで、パーソナライズド・メディア・コミュニケーションズ(PMC)の法律顧問として、市場において最も効果的なライセンシング・プログラムの1つを導入することに貢献した。現在は、同社の社長として、様々な通信システムやデバイスおよびネットワークを対象とするポートフォリオの管理に今も積極的に関与している。2015年、PMCは、既にシスコやソニー、モトローラ、ディレクTVなど知名度の高い企業が並ぶライセンシー・リストにシャープとアリス・グループを加えた。米国で継続中の特許改革の議論では、ライセンス部門においてホルツマン氏の意見がより尊重されるようになり、いかなる立法案に対してもバランスを提唱している。

38 クワン-ジュン・キム、インテレクチュアル・ディスカバリー

インテレクチュアル・ディスカバリー(ID)は、韓国政府が同国最初の政府系特許ファンドを運用し、国内産業に対し多数の知財コンサルティング・サービスを提供するために設立した会社であり、2010年7月の立上げ以降ますます力を付けてきている。過去5年間にわたって、IDとその関係会社(運用資産は4億6,000万ドルを超える)は、評価額1億ドルを超える5,000近い特許で構成されるポートフォリオを構築し、200社を超える企業がその防御的特許プールスキームに登録している。2015年に入ってIDの新しいCEOに指名されたクワン-ジュン・キム氏は、今後数年にわたってその事業を拡大し、投資家に収益を約束する任務を負う。キム氏はサムスン・ディスプレイの出身で、同社では最高知財責任者(CIPO)および法律顧問を務め、韓国の知財業界における主要な思想的指導者としての名声を得た。同氏は、サムスン・ディスプレイ在職中、またそれ以前の親会社であるサムスン・エレクトロニクスの知財センターのバイスプレジデントとして、国境をまたいだ知財訴訟や国際出願手続きおよびライセンス交渉の業務で幅広く経験を積んだ。同氏のこうした専門性は、まさにIDがポートフォリオの収益化のための、おそらくより攻撃的となり得る次の局面を開始するにあたって必要としているものであろう。

37 ジョー・チェルネスキー、クデルスキー・グループ

自ら騒ぎ立てることはしないものの、スイスのデジタルセキュリティおよびコンバージェント・メディア・システム企業であるクデルスキーは、過去18ヶ月にわたって重大なライセンス取引を相次いでまとめてきた。ネットフリックス、ブルームバーグ、グーグル、ウォルト・ディズニーといった著名な企業との取引を牽引するのが知的財産担当シニア・バイスプレジデントのジョー・チェルネスキー氏である。バイスプレジデント兼グローバル・ライセンス営業担当ゼネラルマネージャーを務めていたインテレクチュアル・ベンチャーズから2012年に引き抜かれた(その前はIポテンシャルの共同創立者だった)チェルネスキー氏は、創立者でCEOのアンドレ・クデルスキー氏の直属となっている。「穏やかに、穏やかに」というのが彼流の仕事の進め方で、数々の成功にもかかわらず同社が裁判沙汰に至ることは滅多にないことは注目に値し、これは、チェルネスキー氏が率いる評判のチームが将来のパートナーを説得するうえでの強力な材料となる。ただし訴訟となった場合、ヨーロッパの裁判地がより好まれる。 [下記のインタビュー参照]

ジョー・チェルネスキー
長期的視野に立った活動

クデルスキー・グループは過去2 年間、ライセンシング・キャンペーンで一連の成果を達成してきた。これらの成功の多くは、元インテレクチュアル・ベンチャーズのエグゼクティブ、ジョー・チェルネスキー氏の功績と言ってよい。同氏は、2012年4月に知財部門の責任者として同グループに入社、CEO直属の地位にある。

クデルスキー・グループのライセンシング・キャンペーンは過去1年、大いに勢いを増しているようであり、グーグル、ディズニー、ブルームバーグ、ネットフリックスなどのライセンシーが契約した。この新しい勢いの背後には何があるのか。

私がクデルスキー・グループに入社したのは、知的財産が成長計画に必須の中核的要素であると取締役会がすでに決定していたからです。こうした基盤に立って、私は、目の前の勝利だけでなく長期的展望を持って活動する組織を構築できました。ライセンシングは、あらゆる事業開発の取り組みと同様、関係構築の活動であり、ビジョン、投資、コミットメント、さらには非常に有能なチームを必要とします。このことが、当グループの特許ポートフォリオの基礎的な性質と相まって、世界規模で権利行使を統合的に実行する能力のある世界一流のチームを編成することを可能にしました。チェアマン兼CEOのアンドレ・クデルスキーも素晴らしいアイデアを提供し、チームの前進を支えてくれます。強固な戦略、チェアマン兼CEOの支援、強力な特許ポートフォリオ、そして世界一流の人材のおかげで、グループ全体の広範な支援を背景としてプログラムは好調なスタートを切ることができました。

クデルスキー・グループは総じて、訴訟を行わずして多くのライセンシーと契約することができているように見える。そして、提訴した場合も成功してきたようだ。会社のライセンス戦略はどのようなもので、またどんな状況下で提訴するのか。

私たちは、製品に関する連携、戦略的知財関係、あるいは直接的な特許ライセンスなど、様々な結果の可能性を探ります。当グループは創設時から、特に米国では、変化しつつある状況に基づき妥当な価額を予想すべきであることを認識していました。こうした妥当性の認識が奏功したと思います。私は、すべての企業に対して誠実に敬意をもって交渉することが私たちの責任と考えています。とはいえ、これは相互的な関係です。多くの企業は知財権を尊重し、誠実に協議しますが、そうでない企業もあります。2つの企業が知財紛争を解決するうえで、訴訟という手段は非常に非効率的です。しかし、時には必要となることもあります。今日の知財市場の不確実性に対する一部の企業の対応を見ると、訴訟が増加しているのも意外ではありません。

あなたは2012年にインテレクチュアル・ベンチャーズから同グループに入社された。知財管理や知財戦略に対する会社のアプローチという点で、当時どんな変革を実施したのか。

会社は、ステファンおよびアンドレ・クデルスキーに始まるイノベーションの歴史と強力な基盤を構築していました。それを基礎に、技術者、製品マネジャー、ビジネスや知財の専門要員、弁護士が一丸となって、先に述べた計画を実行していました。私たちは、内外から人材を集めて世界一流のチームを構築しました。そして、組織と共に、また組織全体にわたって作業することにより、当グループの業務のあらゆる側面に統合されるようになりました。私は長い時間を費やして、エグゼクティブチームや取締役会、様々な現場とイノベーションや知的財産について話し合い、影響力を高める方法を組織から学びました。また、新たな知財戦略や事業計画に適合する特許を(内部開発や買収により)どこからどんな方法で取得するかに関して投資対象を見直すことにより、すでに効果を発揮していた特許プログラムをさらに改善しました。(JE)

36 周延鵬、ウィスプロ/ScienBiziP/MiiCs&パートナーズ

ウィスプロCEOの周延鵬氏は多彩な顔を持つ。知財戦略コンサルタント兼法律事務所を率いるのに加えて、同氏は、特許収益化企業であるMiiCs&パートナーズと、ホンハイ(鴻海 ―フォックスコンとも呼ばれる)が2013年に知財機能をスピンアウトした際に設立された組織であるScienBiziPコンサルティングにおいても責任者を務めている。周氏は、ホンハイの最高法律顧問を18年間にわたって務め、この間にこの台湾企業を地域の最強知財チームへと成長させた。その後同社を離れてウィスプロを創立したが、一巡りして今日では、フォックスコンの郭台銘会長の強い要請によって、周氏は再び、但し今回は従業員としてではなく関係第三者として、同社の知財ポートフォリオの価値の最大化に大きな役割を果たすようになっている。周氏の会社では、同グループのほとんどの知財戦略を手掛けるのに加え、台湾の権利保有者らが特許ポートフォリオをより活用するにつれ、他の台湾企業の顧客数も増加している。[下記のインタビュー参照]

周延鵬
多方面で活躍

周延鵬氏は大量の仕事を抱えている。ホンハイ(鴻海/別称、フォックスコン)の知財部門のスピンアウトによって設立されたScienBiziPのチェアマンとして、世界有数の特許ポートフォリオの管理に従事している。この台湾のハイテクメーカーは国内で他のいかなる企業より多数の特許を出願しており、長年そうしてきた。さらにフォックスコンは海外でも極めて積極的にポートフォリオを構築している。2014年には、中国本土で811件の特許を取得し、出願企業中9位となった。一方、2014年米国で取得した特許は1,537件と、18位に位置した。

任務の規模をよそに、あらゆる実績が、同氏がその仕事に最適の人物であることを示している。実際同氏は、最高法律顧問としてフォックスコンに18年勤め、退職後は工業技術研究院や国立台湾大学の顧問となり、やがて自身の知財戦略コンサルタント兼法律事務所、ウィスプログループ(世博)を設立したのである。同氏はこう言う。「フォックスコンに入社したのはほぼ30年前のことでした。当時のフォックスコンは外国の競合他社の標的となり、毎年多数の特許訴訟に直面していました。会社が攻撃に抵抗し、最終的に成長するのを支援するため、私は在任中、約400名のスタッフから成る法務・知財チームを作り上げました」。したがって、フォックスコンの設立者の郭台銘会長が、2013年に別会社としてScienBiziPを設立した際、それを指揮するよう周氏に要請したのもほぼ当然と言える。

ScienBiziPがフォックスコンから独立したことの利点の1つとして、ウィスプロと共に広範なクライアントにサービスを提供できることが挙げられる。そして、このことこそ、近隣地域の知財の洗練度を高めるという周氏が自ら定めた使命の核心をなす。同氏はこう説明する。「台湾と中国の産業界は特許障壁や訴訟に苦しんできましたし、今なお苦しんでいます。台湾企業や中国企業は世界で多数の特許を出願していますが、その大半はほとんどあるいは全く投資利益率に寄与しません。一方で、世界中から訴えられ、和解して高額のロイヤルティを支払うことを余儀なくされています」。一例を挙げれば、2014年に台湾は150億ドルをR&Dに、6億ドルを特許出願に支出した、と同氏は言う。「こうした取り組みの結果としてロイヤルティから得た利益は9,200万ドルにすぎないのに対し、台湾が毎年外国の権利保有者に支払うロイヤルティは60億ドルに上ります。私がウィスプロを設立した動機の1つは、大中華圏の企業が知財の価値を実現するのを支援するために包括的サービスを提供することでした。ウィスプロは、企業の知財ポートフォリオの構築・増強を支援するため、相当のリソースを投入して自社の方法とシステムを開発してきました。私たちが提供するサービスを通じて、クライアントは国際レベルで競争することが可能になります。」

同氏が手掛ける別のファームはMiiCs&パートナーズである。このファームは、エリクソン、ウィーラン、インターデジタル、シーメンス、IBMなどライセンシングの有力企業に以前務めていたスタッフを集めて2014年に設立された。MiiCsは、フォックスコンを含むクライアントの代理人として特許の購入や売却、ライセンシング、主張に取り組んでいる。例えば、フォックスコンがグーグルに特許を売却する取引を手掛ける一方、NECからディスプレイ関連の特許を購入するのを支援した。その後、MiiCsは船井電機、東芝および三菱電機に対し侵害訴訟を提起し、三菱電機とは今年7月に和解に達した。

同氏にとってMiiCsの設立につながった台湾企業や中国企業の取得活動や特許権主張活動の増大は、特許品質の問題から生じている。同氏はこう述べる。「それらの企業が既存の低品質の特許に依存し続けたら、他国に進出する際に障害に突き当たることになります。このことが、他国から資産を取得するニーズを生み出しています。今後数年、アジア企業の参加により、国際的な取引市場が一層活発化すると見込まれます。」(JE)

35 ピーター・ホルデン、ipCreate

パナソニック、コラーキャピタル、IPバリューなどの企業でキャリアを持ち、いくつもの取引を成立させてきたピーター・ホルデン氏ほど実績の多い特許交渉者は珍しい。しかし、ホルデン氏は、今では資産の売買はもう行っておらず、ipCreateの社長として、主要技術企業における多数のコンタクトを利用して、このインベンション・オン・デマンド企業の事業を推進し、資金の獲得を目指している。初期の段階ではその両面において非常に成功しているようであるが、本当に試されるのはおそらくこれからだろう。事業を軌道に乗せることと、これを維持し成長させることは全く異なる話となる。しかし、同社はジョン・クローニン氏とマーシャル・フェルプス氏をそれぞれ経営執行役会長と会長に迎え、特に企業の研究開発費がかつてなく高騰し、財務上の精査の対象となる時代において、成功するためのすべてのチャンスを握っている。

34 ボリス・テクスラー、アンワイヤード・プラネット

ボリス・テクスラー氏が特許許諾および特許戦略を担当していたアップルを去ってテクニカラーの技術責任者となり多くの人を驚かせたのはほんの2、3年前のことであったが、同氏は6月にNPEアンワイヤード・プラネットのCEO兼社長に就任して再び周囲を驚かせた。この新しいポストが魅力的だったのか、テクニカラーの役員室での攻防に疲弊したのか、或いはこの両方なのか、いずれにせよ、アンワイヤードが8月に発表した4,200万ドルの年間損失は、テクスラー氏が大きな挑戦を手にしていることを示している。しかし、同社の前身であるオープンウェーブから受け継いだモバイルインターネットの基盤的特許に加え、2013年にエリクソンから譲渡を受けた2,000を超える特許があり、テクスラー氏は大量の案件を抱えている。今後、テクスラー氏はハイテク関連の幅広い人脈を生かし、標準必須特許の使用許諾により重点的な取り組みが見られることが期待され、またヨーロッパにおける訴訟も増加するだろう。何らかの製品開発もありそうである。

33 アイラ・ブルンバーグ、レノボ

過去と比較し、ここ2、3年は大型の特許取引については比較的静かであったが、中国のレノボはこの傾向に反して、特に日本のNECやNPEアンワイヤード・プラネットといった会社から特許を購入している。M&Aの領域でも、同社はIBMのサーバー事業やモトローラ・モビリティの買収を通じてポートフォリオを増やしている。こうした高額取引は、レノボの本拠地である北京ではなく、アメリカのノースカロライナにある同社の知財中枢部が指揮した。バイスプレジデントのアイラ・ブルンバーグ氏は、ここで同社の知財戦略を策定し実施しており、北米とヨーロッパのスマートフォン市場における同社のプレゼンスの拡大と共に、本拠地中国および世界各国においても購買を強化することを目指している。しかし、ブルンバーグ氏が提供するのは知財資産購入に対する鋭い目だけではない。同氏はレノボのポートフォリオの有機的成長の推進においても鍵となってきたが、この活動は、同社の将来にさらに貴重な機会を提供する可能性がある。

32 長澤健一、キヤノン

一握りの日本企業が、資産の売却または一部にはNPE(特許不実施主体)との提携による特許の収益化を採り入れることを決定しているが、大多数の国内企業にとって、そうした活動は今も受け入れ難いものである。こうしたより保守的な声の最前線が、キヤノンの知的財産部門長で取締役の長澤健一氏である。長澤氏にとって、一般市場で特許が売買されるような取引は最終的に逆効果で、そうした資産は「トロール」の手に陥るかまたは「トロール」のような行動を奨励する可能性があるため、日本企業の経済的繁栄を損なうものである。しかし、収益化については保守的であるものの、このことは同氏が受け身の傍観者であることを意味するものではなく、実際全くそうではない。長澤氏は、グーグルとのライセンス・オン・トランスファー・ネットワーク(LOTNet:権利保有者の協定で、自社の特許の売却を決めた場合には会員企業にライセンスを供与することを約束したもの)の設立に尽力し、日本の緊密な企業知財リーダーの中で最も影響力の大きい一人である。

31 ダナ・ヘイター、インテル

ダナ・ヘイター氏がバイスプレジデントとして知財部門を率いているインテルは、新たな市場や技術領域への移行を模索する今も、同セクターの最前線で活躍する1社である。この1年間で報告されている同社最大の特許取引は、かつてパワーウェーブに属していた1,400件の資産の取得であった。広報担当者はIAMに対し、支払われた金額は同社にとって「重大ではなかった」と話したが、それでも高額の取引であった可能性は残る。しかし価格がどうであれ、この取引は、インテルが今もスケールの大きな案件を考える用意のある活発な勢力であることを示している。中国の政府系半導体投資事業体のチンファ・ユニグループ(清華紫光集団)に対する多額の投資を含む幅広いM&Aや融資取引も、同社の知財ポジションを増強した。インテルは最近、米国の特許改革や標準必須特許の使用許諾を巡る議論においても、主要参加者として声を上げている。2015年6月にサンフランシスコで開催されたIPBCグローバルで講演したヘイター氏は、こうした問題のために、ストレートな特許許諾ではない技術ベースの取引が知財市場においてより一般的な形となるだろうと予測した。同氏の専門知識を有するインテルは、これが実現すればすばらしい利益を得ることになる。

30 ジュ・スプ・キム、LGエレクトロニクス

特許に関して言えば、韓国のチェボル(財閥)は、概して、クロスライセンス目的のための大量の特許出願に努力を傾注してきた。ところがここ数年、LGグループの旗艦企業であるLGエレクトロニクス(LGE)は、自社の幅広いポートフォリオの価値を高めるために、訴訟や使用許諾においてより攻撃的なアプローチを取るという思い切った行動に出ている。この新たな戦略の採用は、LGEの知的財産センター担当バイスプレジデントであるジュ・スプ・キム氏の尽力が大きい。キム氏は2011年に入社すると、LGディスプレイやゴールドスター、LGセミコンといった他のLG関連会社を代表して世界中で知財紛争や使用許諾交渉を扱った数十年の経験を活用した。以来、キム氏とそのチームは、知財取引を積極化し、主張に対して断固として同社を弁護してきた。ごく最近では、LGEは、自社の知財資産からさらに価値を引き出すべく第三者サービス業者と提携することを検討しているようである。[下記のインタビュー参照]

ジュ・スプ・キム
大勢に抗して

LGエレクトロニクス(LGE)の知的財産センター担当バイスプレジデント、ジュ・スプ・キム氏は、韓国で言う革命的知財戦略の開発に責任を負ってきた。国内の競合他社が主に、クロスライセンスの実現に向けて引き続き大量の特許出願に注力しているのに対し、LGEは収益化と訴訟に向けた積極的アプローチで群を抜いている。

LGEのチームに最初に所属した時期は?それからずっと知財部門で活動しているのか。
ゴールドスター(LGEの前身企業)に入社して知財部門に所属したのが1984年。それから30年以上様々なLG関連企業で働いてきました。その中には、LGフィリップス・ディスプレイ、知財部門責任者を務めたLGディスプレイが含まれます。最後にLGエレクトロニクスに勤め、ライセンシングおよび訴訟担当バイスプレジデントとして出発しました。この間、世界の230件以上の知財訴訟を担当し、30件以上の審理に関与しました。

あなたの知財活動に最大の影響を与えた人物は?
駆け出しのころ、GE/RCAライセンシングのザレンバー氏と協働し、交渉した経験からライセンス活動について学びました。旧友のロジャー・S・ボロボイ氏(現在は、カリフォルニア州のフィッシュ・アンド・リチャードソン法律事務所の弁護士)からは、契約の観点から捉えた知財の法的問題について多くを学びました。

その後、言うまでもなく、IBM、フィリップス、テクニカラー、コダック、シズベルなどの企業のパートナーや訴訟相手からもたくさんの経験や教訓を得ました。

一言で言って、LGEの知財戦略のアプローチはどのようなものか。
「世界一の企業」になるという当社の目標の支えとなり、それに向けて知財ポートフォリオを構築することです。このことを念頭に置いて、特に標準技術やLG「独自のセールスポイント」、つまりLGUSP技術などの中核的技術領域についてR&D部門の同僚と密接に協力しています。現在、R&D部門の自由な活動を支援するため、ライセンシングや訴訟を含む攻撃的および防御的な知財戦略も実行しています。さらに、LGEが取得した知財資産を保護し、そこから付加価値を創出するために、積極的な知財収益化戦略も実行しています。

現在、LGEが直面する最大の知財関連の課題は何か。
消費財のメーカーとして、LGEは米国や欧州、アジアの様々なNPEから知財に関する挑戦を数多く受けています。道理をわきまえたNPEもあるが、多くは無価値の特許を基に不当な要求を行います。LGEは、彼らとの特許紛争から生じ得る様々なリスクを管理しており、知財リスクの最小化に向けた多様な戦略を実施しています。

韓国企業はこれまで概ね知財戦略の点で消極的かつ防御的だった。しかし、LGEの場合、訴訟やライセンシングの点でより積極的になってきた兆候が見える。LGEが戦略を変更した要因は何か。
LGEは、個々の事案が抱える状況次第で攻撃的な対策を開始します。要求が妥当であれば、双方にプラスになる解決策を追求します。しかし、不当で勝手な請求については、たとえ多額の裁判費用が発生することになっても、それを排除するために積極的に対応します。さらにLGEは、常に事業会社にとって負担になるロイヤルティの削減に努めており、私たちが自由に事業展開できるような環境の提供に向けて努力しています。

韓国企業が知財資産の権利行使や収益化の点で積極性を増す中、韓国知財市場は変化していくと考えるか。
韓国では、知財の侵害に対して認められる損害賠償が高額化する傾向が見られます。今後、グローバルな知財関連の問題が一因で韓国の事業会社が成長したり衰退したりする可能性があり、LGEは知財能力の増強に専念しています。また、技術や知財分野で韓国企業が躍進し、その指導力が増すのに伴い、多くの韓国企業が、事業を支え、市場で競争的な立場を確保するために、知財資産の活用の改善に着手し、より積極的な収益化を図るようになっています。(JE)

29 ジョン・リンドグレン、コンバーサン

NPE(特許不実施主体)にとって市場の厳しさが増す中、旧モサイドのコンバーサントは、業界の大物として浮上してきた。同社は2014年に最高収益を享受し、2015年に入ると匿名半導体企業との2件の大型ライセンス取引をまとめた。うち1件はNPEによるものとしては過去最大であった。2006年に入社以来、リンドグレン氏は安定した舵取り役として、社名変更やスターリング・パートナーズによる2011年の株式非公開に続き、2015年の製品開発部門の売却を指揮した。同氏のリーダーシップのもと、コンバーサントは倫理的特許許諾原則や、特許所有者公開簿(ORoPo)への参加を通じた特許の透明性の推奨においても第一人者となっている。リンドグレン氏は、ライセンス事業において長期にわたる実績を有しており、自社とパートナーの知財資産の収益化に集中して取り組む企業を率いるのに最適な資質を備えている。[下記のインタビュー参照]

ジョン・リンドグレン
コンバーサント

多くの点でコンバーサントは、すべてのライセンス会社と同様、現在の特許市場において好位置につけている。2011年にプライベートエクイティファンドのスターリング・キャピタル・パートナーズ率いる投資家グループによって非公開化された同社は、多くの公開知財会社の株価が急落したりする株式市場の荒波にもまれることがなくなった。同社はまた、自社が開発した特許や取得した特許のほか、提携関係にある他の企業の特許の権利を主張する戦略も整備した。ごく最近は一連のベストプラクティスを導入し、これにより同社はライセンス供与の交渉に尽力し、最も信頼できる事業者でさえ他者の訴訟によって名誉が損なわれるNPEセクターにおいて、自社の差別化に寄与した。

CEOのジョン・リンドグレン氏によれば、2014年はコンバーサントにとって再び過去最高売上を更新した年になった。2015年も好調なスタートを切り、半導体分野で2つの大規模なライセンス取引を締結したが、うち1つは同社にとって過去最大の取引であった。同氏はこう言う。「半導体業界には、訴訟が不利な結果に終わるようなリスクをとらない分別のある企業がまだたくさんあります」。同氏はまた、コンバーサントのベストプラクティスおよび訴訟主導型のアプローチを追求しないという確約がライセンス交渉に役立っていると主張する。

この戦略は、コンバーサントが、知的財産の収益化の促進に向けて提携先を探している企業を獲得するのにも役立っている。「相手が厄介者や訴訟好きであるという明らかな記録がない限り、訴訟を用いるべきではないと思います」と同氏。

半導体技術会社としてスタートしたコンバーサント(当時の名称はモサイド・テクノロジーズ)は、2015年上期、ライセンス事業のみに集中するために技術系子会社をスピンオフした。リンドグレン氏によれば、同社の投資家は、同社が高リスクかつ高コストの製品開発ではなく特許ライセンスに集中することを熱望した。厳しさを増す現在のライセンシングの状況にあっても、コンバーサントは成功するための経験とノウハウを備えている。(RL)

28 アシュリー・ケラー、ゲルヒェン・ケラー・キャピタル

アシュリー・ケラー氏は、ゲルヒェン・ケラー・キャピタル(GKC)が特許の世界において最も有名で最も資金力のある投資会社の1社となる推進力となってきた。この分野の成功が資金調達によってある程度測定できるとすれば、GKC はまたたく間に市場リーダーとなるだろう。2015年2月、同社は、その最新ファンドであるGKCクレジット・オポチュニティーズを、4億7,500万ドルを超すコミットメントを集めてクロージングしたと発表した。このクロージングによって、GKCは今や8億ドルを超える資産を運用することとなり、法務・規制リスクに専念する最大級の投資会社となった。こうした積極性と、医薬品分野におけるGKC関連会社ネプチューン・ジェネリクスの創立という最近の興味深い出来事(おそらく当事者系レビューに関連する動きか?)を鑑みると、ケラー氏率いる同社の株は今後も上昇し続けるのは確実と思われる。[下記のインタビュー参照]

アシュリー・ケラー
忍耐の見返り

アシュリー・ケラー氏は、法務・規制リスクに集中する世界最大の投資顧問会社ゲルヒェン・ケラー・キャピタルの共同設立者である。この訴訟ファンドは設立後わずか2年で8億ドルを越える規模に達し、特許訴訟の有力支援者としての名声を確立した。同氏は知的財産への自社の関心についてこう説明する。「当社の投資家は特許訴訟と他のリスク資産クラスの間に相関がないことを評価しています。また、各々の特許投資機会が当社で登録済みの他の特許投資とほとんど相関しないポートフォリオを当社が構築できることも評価してくれています。」

同氏は、訴訟専門法律事務所のバートリット・ベック・ハーマン・パレンチャー&スコットのパートナー、ならびに米国連邦第7巡回区控訴裁判所のポスナー判事および米国最高裁判所のケネディ判事の法務書記を務め、特許の判例とそれが市場に与える影響に精通している。こうした知識が、自分の資金が安全であるという一定水準の安心感をゲルヒェン・ケラーの投資家に与えている。同氏はこう述べる。「特許の機会を捉えるには、価値のあるものの選別にきめ細かく対応できる特別なスキルセットが必要となります。そして、言わせていただくなら、当社は業界随一の特許引受チームを構築しました。」

このチームの役割は、侵害、有効性、損害賠償という3つの基本原則に基づいて個々の特許の投資機会を評価することである。「ゲルヒェン・ケラーにとって、投資機会に資金を投入するには、それらの要素が完全にそろっていなければなりません。というのも、最近の判決や議会で検討されている一部の法律改正の影響により、特許市場には著しい不透明性があるからです。」

こうした不透明性のため、特許訴訟はしばらく前に比べリスクの高い提案になっている。その結果、特許訴訟を支援し、知財資産の収益化を目指しながら単独ではその資金をまかなえない人々を援助する用意のある資金提供者が減少している。しかし、同氏は、この困難性にもかかわらず、米国特許市場が依然として実り多いことを確信している。「投資家にとって5年前より困難であることは間違いありません。しかし、米国には特許に値する良好なイノベーションが依然として数多くあり、忍耐力さえあれば、それらの高品質のイノベーションは、侵害を受けたときに利益をもたらしてくれます」と同氏は言う。

2020年までの見通しについて、特許権者はゲルヒェン・ケラーが提供するようなサービスにより依存するようになる、と同氏は予想する。「最近の判決により、弁護士費用負担の転嫁が容易になりました。さらに、提案されている法律改正が成立すれば、費用負担の転嫁の事例がかなり急激に増加すると思われます。そうなれば、私たちのようなリスクパートナーの必要性も高まるでしょう。」(SJC)

27 御供俊元、ソニー

日本の複数の代表的な技術企業がそうであるように、ソニーは、この数年間の大部分を今日の市場に合わせた自己改革と黒字転換を図ることに費やしてきた。業務執行役員シニア・バイスプレジデントであり知的財産担当の御供俊元氏は、この長年に渡る再構築プロセスの間、同社の膨大な知財ポートフォリオの変革を専門家として管理してきた。これには、パソコンブランドのバイオなど非中核事業の売却や、ソニーのテレビ製造部門を新子会社ブラビアとするなどのその他の事業のスピンオフが含まれる。同社が従来型事業からモバイル、画像処理、コンピューターゲームといった新たなより将来性のある分野へ移行することで、2015年に行われたクラウド・サービスのオンライブの知財資産の取得、2014年のドロップボックスへの100件を超える米国特許の売却といった特許取引に加え、同じく日本企業のパナソニックとジャパンディスプレイとの合弁会社、JOLED(ジェイオーレッド)への権利譲渡などを御供氏と同氏のチームは指揮してきた。[下記のインタビュー参照]

御供俊元
ソニーの統率者

日本の巨大ハイテク企業ソニーも過去10年、相応の浮き沈みを経験してきた。この間、経営陣は改革や再編、事業売却、買収などにより長年にわたる財務損失や肥大化した会社組織に対処しようとしてきた。

御供俊元氏はこの過渡期を通じてソニーに在籍し、そうしたイニシアティブで重要な役割を担ってきた。同社で様々な知財管理の職務を経験してきた御供氏は、2013年に業務執行役員シニア・バイスプレジデント、知的財産担当に任命された。これは、現在ソニーが知財資産とその価値創出の可能性を重視していることの現れである。しかし、同氏の役割は何よりも、ソニーの知財戦略が会社の製品・サービス事業と確実に整合するように図ることである。「周知のようにソニーは、積極的な知財ライセンス・プログラムを有する、アジアでは数少ない事業会社の1つであり、知財ライセンスから相当の売上を生み出しているものの、知財ライセンス供与は当社の中核事業ではありません。ソニーは常に、大規模なR&Dプロジェクトを有する家電メーカーであり、知財もこの主要事業を支えるために利用しています」と同氏は言う。

ソニーは、将来の製品提供計画に結び付かない既存事業の一部を売却またはスピンアウトしてきたが、同氏はその決定の多くで中心的な役割を演じた。同氏はこう説明する。「事業の売却を検討する際に評価すべき資産のうち最も重要なものの1つが知的財産です。知財管理においては全社的な観点に立ち、どんな種類の戦略がソニー全体にとって最も適切であるかを判断します。ソニーは大規模な知財ポートフォリオを保有しており、多くの特許が複数の事業単位にとって価値があります。したがって、知財戦略では、スピンアウトする事業に加え、ソニー傘下にとどまる他の事業単位にも最大の価値がもたらされるようにします。」

また、同氏のチームは、特許のみの売却が戦略上理に適っていると判断した場合、そうした取引も手掛けてきた。同氏はこう言う。「知財ポートフォリオを会社の事業の方向性に整合させるため、随時見直しを行っています。そして、不一致が見いだされた場合は、その特許を高く評価し取得を望む外部企業に売却することを検討します。売却の際は、そうした売却の経済的価値のほか、特許の購入者、そのポートフォリオの売却が業界に与える可能性のある影響を考慮します。」

これらの事業売却の裏面には、ソニーが新たなターゲット市場に進出するのに役立つ特許ポートフォリオや会社全体の取得に加え、潜在的な価値創出の機会を特定するための既存知財資産を掘り下げた分析がある。同氏はこう述べる。「ソニーの非常に大規模な特許ポートフォリオが会社の事業の方向性に引き続き整合しているかどうか、および特許の価値を新たな事業分野に拡大できるかどうかを見極めるために絶えずポートフォリオを見直しています。というのも、クラウドベースのサービス、モノのインターネット、および技術が進歩した他の領域の統合により、技術分野の収れんが著しく進んでいるからです」。同氏は、ソニーのポートフォリオの「新鮮さ」を保つため、また随時進化するビジネスモデルを支援するために、外部からも特許を取り入れていると付け加えた。「私たちは通常の知財活動の一部として、ソニーの事業の方向性を補完する特許や、知財ポートフォリオの価値全体を増強する特許を発見した場合、社外から特許を取得しています。」

このように広範囲に及ぶ活用可能な特許ポートフォリオを背景として、ソニーは、再編計画を推し進めながら、売上の創出や新事業の立ち上げに向けた数多くの機会を捉えようとしている。同氏は次のように言う。「ソニーは長年にわたり、市場が一定の技術イノベーションを利用できるように、しかるべき条件下で特許のライセンス供与を行ってきましたし、今後もそうします。しかし、ライセンシングによる売上を創出することが会社にとって重要であるとしても、私たちは、新技術で新市場を実現することをより重視しており、その達成には知財部門が重要な要素として機能します。」(JE)

26 ステファン・ルージョ、テクニカラー

毎年の特許使用料収入が数億ユーロ単位となるテクニカラー(旧名トムソンSA)は、ヨーロッパのライセンス強豪企業の1社である。しかし2014年の大半と2015年初めは、行動派の株主のベクター・キャピタルとの戦略に関する激しい論争に巻き込まれた。ベクターは、事業を2つに分けて一方は製品中心、もう一方はライセンス中心とすることを提唱したが、テクニカラーの取締役会は、事業統一の方が強力な命題であると主張してこれに抵抗した。ようやく解決に至ったのは、ベクターが、Drive 2020という全体の価値の構築のために知財と製品開発が手を携えて取り組むことを前提とする戦略を支持した2月であった。ボリス・テクスラー氏の辞職後、4月に技術責任者に指名されたルージョ氏は、この新計画を達成し、ベクターの支持を維持する任務を負う。ルージョ氏は、テクニカラーの前最高財務責任者であり数字に強い。次は商談の能力を示す時である。ロヴィで知財およびライセンス担当グローバルヘッドを務めたアーヴィン・パテル氏を最近迎えたことは、その面において相当の助けとなるであろう。

25 ジャン-シャルル・ウルカド、フランス・ブルベ

ヨーロッパ唯一の政府系ファンドにとって忙しい年であったが、ゼネラルマネージャーのジャン-シャルル・ウルカド氏は満足げに振り返る。フランス政府と国有銀行であるフランス預金供託公庫が共同で1億ユーロの資金を提供して2011年に設立したフランス・ブルベの任務は、同国につながりのある企業や大学その他の事業体が知財収益を最大化する手助けを行うことである。2014年および2015年にかけて、同社は、提携先のインサイドセキュアを代表してLGとの近距離無線通信特許のポートフォリオに関するライセンス取引を確保し、同資産に基づきドイツの裁判所においてHTCに勝訴するなど、この任務を公に果たし始めた。その他にも取引は水面下で行われており、フランス・ブルベ・モデルが機能することを証明している。現在、防御的活動に集中的に取り組む別個のファンドの創設が議論されている。この話が進めば、ウルカドとその精鋭チームの仕事がさらに増えることを意味するが、これに異存はないだろう。[下記のインタビュー参照]

ジャン-シャルル・ウルカド
有能な転向者

ジャン-シャルル・ウルカド氏は転向者である。それまで公的機関で働いた経験はまったくなかったが、フランス政府とフランス預金供託公庫に請われてフランス・ブルベを創設した。今では国営特許ファンドの価値に完全な確信を持っている。同氏はこう言う。「フランスは間違いなくこのイニシアティブの恩恵を享受していると思います。私は、他の欧州諸国が類似のファンドを導入することを歓迎します。もっとも、当面それを実現するのに十分な政治的意思はないようですが。」

特許に関連する政治的意思の多くは、最近の欧州単一特許制度の確立に向けられてきた。しかしながら、統一特許裁判所(UPC)の導入を間近に控えた今、そのせいでトロールにとって法廷地としての欧州の魅力が増すのではないかという懸念が生じている。同氏はそれにこう反論する。「その懸念には全く根拠がなく、UPCは欧州にとって極めて有益と考えます。トロール活動は、陪審員、複雑な裁判制度、法廷地漁りといった、欧州には存在せず、今後も存在することのない訴訟手続きに根差しています。」

フランス・ブルベで国家支援を受けたパテントトロールを作り出そうとしているとしてウルカド氏自身を非難する声がある。しかし同氏はこれに強く反論して、自身の動機はイノベーションのエコシステムの効率性や知財意識を高める手助けをすることにあると力説する。したがって、同社の次の発展段階では、特許のライフサイクルの前半に対する注力を強化する。同氏は次のように説明する。「私たちには権利の行使と保護の点で実績があります。今やクライアントが知財を使用して業務の自由を活用し保護することができるようにその教育を行うべき時です」。同氏はまた、知財を担保とする貸出を容易に受けられるようにして資金調達の状況を改善するために、知的財産の価値についてフランスの銀行を教育することも目指している。

フランス・ブルベのクライアントの大半は大手企業を相手に訴訟を提起する小規模企業であり、中小企業が公平な取引を行えるようにすることが同社の主要な目的である。しかしながら、懸念すべき傾向のためにこの目的の達成が次第に困難になりつつあると同氏は主張する。「あらゆるライセンシングの要請を拒絶する最大手企業が増えています。これは、そうした企業が費用や複雑性のために訴訟を尻込みする特許権者が多いことを知っており、10件のライセンス契約に署名するよりも1件の事案で敗訴するリスクを冒す用意があるからです」。同氏の説明によれば、そのためライセンスに関する友好的な協議が以前より難しくなっている。「この状況はパテントトローリングの結果です。しかし、それらの企業はフランス・ブルベがトロールでないことを認識しなければなりません。私たちは最終的に訴訟に訴える用意がある一方、現実的で、理に適った協議には応じます。ですから多くの時間と経費を費やすよりはすぐに協議しようではありませんか。」(SJC)

24 ガイ・プルークス、トランスパシフィックIP

トランスパシフィックIPは、チェアマン兼CEOのガイ・プルークス氏が2004年に、アジア太平洋で初となる大規模な知財戦略サービスを提供者として創立したが、今日に至るまで地域の市場リーダーであり続けている。2014年12月に上海で開かれたIPBCアジアでのスピーチにおいてプルークス氏自身が説明した通り、この2、3年はライセンス活動の低迷が見られ、特許取得に対する買い手のアプローチはより慎重なものであったが、それでもトランスパシフィックのビジネスは好調であった。同社はブローカーや仲介業者として最もよく知られているが、次第に分析や戦略策定、デューデリジェンスなどのコンサルティングの提供へとさらにサービスの領域を拡大している。その結果、同社の勢いは増し続け、今や複数の同地域最大の事業会社を顧客に抱えている。

23 西本裕、NEC

同胞のパナソニックと同様、NECは、家電製品市場のシェアが中国その他の機敏で低コストが売りの競合相手に侵食されつつある時代に付加価値を生み出す手段として特許の収益化を採り入れた数少ない日本企業の1つである。西本裕氏の舵取りによって、NECは、この状況から利益を生むためにその知財資産を賢く活用した。2012年に同社はディスプレイ技術を対象とする特許を台湾の鴻海/フォクスコン・グループに1億2,200万ドルで売却して大きなニュースとなった。こうした特許の一部は、その後、米連邦裁判所において、船井、三菱電機および東芝といった日本企業に対して主張された。同社は2014年、モバイル技術に関連する3, 800のパテントファミリーを中国のレノボに売却した一方、最近では楽天、ルネサス、サムスンの他、日本の政府系特許ファンド運用会社のIP Bridge(アイピーブリッジ)への資産譲渡も行っている。この分野では一般的な法務や研究開発部門ではなく企業戦略部門の出身である西本氏は、知財管理に実利的で経営重視のアプローチをもたらし、NECの特許ポートフォリオを同社の収入源へと転換させることに尽力してきた。

22 ダグ・クロクサル、マラソン・グループ

ここ数年の間に出現したNPE(特許不実施主体)の中で、マラソンは今も、厳しさが増す市況において生き残るだけの資金力のある国際的NPEのトップクラスに加わる可能性が最も高いと思われる。このステータスは、2015年8月にルクセンブルクに拠点を置くライセンス企業のユニロックと合併したことにより強固なものとなった。この取引の背景として税務上の検討事項が大きな要因となったのは間違いないが、これによって合併後の企業(マラソン・グループと呼ばれる)は662の特許資産を取得し、NPE部門においてさらなる統合を推進する立場に置かれることにもなった。ダグ・クロクサル氏は、合併後もチェアマン兼CEOとして留まり、知財業界で最も経験豊富なリーダーの一人という評判を際立たせた。クロクサル氏は、多様性に富んだ高品質特許のプールを中心として構築する戦略に取り組み、他のNPEが追随すべき手本として貢献してきた。

21 カイル・バス、ヘイマン・キャピタル

カイル・バス氏がエリック・スパンゲンバーグ氏と共に特許審判部で複数のライフサイエンス企業を相手に行った30余の当事者系レビューの申請は、ハイテク業界が経験したような徹底した再審査活動の対象となる心配はないと考えていた同業界に衝撃を与えた。バス氏は、その訴訟で収益しようとしている事実を隠さないが、これは、製薬会社やバイオ企業の中に、本来付与されるべきではなかった特許に基づく製品に天文学的な値段を付けている会社があるからこそ可能なのだとも強く主張している。同氏のしていることは空売りに過ぎないという主張が広く流布しているが、これが話の全容とは考えにくく、詳しい分析によればはるかに高度な戦略であることが示唆されている。最近、特許審査部は、アコーダが所有する特許に関してバス氏が申請した当事者系レビュー2件の開始を拒否したが、重大なのは、その拒否が当事者の適格性や動機ではなく、狭義な技術的理由によるものだったことである。特許審判部がいずれ、こうした大きなテーマを扱わなければならなくなる時まで、バス氏や他の投資家たちは申請を続けるであろう。

20 マシュー・ヴェラ、アカシア・リサーチ

投資家たちはまだ確信に至っていないかもしれないが、より大きなライセンス取引の機動力となる高品質資産の大型ポートフォリオに焦点を当てるというアカシアの戦略シフトは成果を出し始めている。2013年8月にCEOを引き継いで以来、マシュー・ヴェラ氏は、このアプローチの変化を推進し、同社特許資産を自動車やエネルギーといった新たなセクターに拡大することに成功すると共に、特にアジアにおいて新たな市場を開発することによって、市場の最上位におけるアカシアの地位を固めることに貢献した。最近の裁判所の判決や法制改革案によってアメリカでの特許許諾条件が厳しくなるにつれて、最大手のNPE(特許不実施主体)各社は、市場における自社の地位を強化しようとするだろう。これは正にアカシアの思惑通りである。ヴェラ氏は、戦略シフトを監督する一方、リーダーとしてアカシアの地位の維持に安定した手腕を示してきた。他のNPEの同輩が抱えている問題を見ると、これは同氏が大いに誇れることである。

19 ブライアン・ヒンマン、フィリップス

これまで見たところ、ブライアン・ヒンマン氏は、ルード・ピータース氏引退後の2014年の初めに就任したフィリップスの知財最高責任者の職を満喫しているようである。ヒンマン氏の下、フィリップスIP &スタンダーズは、価値創造への新たなアプローチにおいて先駆者であり続ける一方、収入源を確立しつつ、同社が事業を行っている多様な技術分野の全域で営業する自由を確保していることも重要である。ヒンマン氏は、フィリップスの発光ダイオードのその他事業からの分社化に密接に係わり、4月に行われた中国のコンソーシアムへのルミレッズの株式80%の33億ドルでの売却においては知財資産が中心的な役割を果たした。常に特許市場について深く考え、アイントホーフェンに移る前も長年にわたってその市場の主要プレイヤーであったヒンマン氏は、米国や欧州の特許改革、標準必須特許のこれからの在り方や知的財産が研究開発の機動力となる新たな方法に至るまで、幅広い議論においてフィリップスの意見を代弁している。

18 サイモン・シガース、ARMホールディングス

イングランド東部のケンブリッジを拠点とするARMは、知的財産を中心に据える世界トップクラスの技術企業としては非常に珍しいイギリス企業の1社である。1990年にエイコーン・コンピュータからスピンアウトした同社は、世界で生産されるほぼ全てのスマートフォンの他、その他のタイプの多くのコンピューター・デバイスに見られる半導体の中で動くプロセッサーを設計している。サイモン・シガース氏本人は知財の専門家ではないが、その10億ドルを超す年間収益の多くを技術ライセンスから生み出している会社のCEOである同氏がマーケットメイカーであることに議論の余地はない。つまるところ、スマートフォンを製造するならARMと率直に話し合わなければならないのだ。デジタルテレビやモバイル・コンピューティングといった分野で営業している場合もその可能性が高い。そして、モノのインターネットが普遍的となるにつれて、この領域でもARMは要注目である。

17 ディアドリ・リーン、IPナビ

このところ、IPナビのウェブサイトは準備中ページとなっている。アクセスしても、あるのは「変更中/2016年秋始動」という謎めいた言葉のみである。他には何もなく、同社にその計画について直接問い合わせても、返ってくるのは丁寧な「ノーコメント」だけである。しかし、何が出現するにせよ、ディアドリ・リーン氏の特徴がそのあちこちにみられるだろう。NPEの中で最も訴訟好きな同社の前社長だったリーン氏は、エリック・スパンゲンバーク氏が退任した2015年初めにCEOとなった。彼女の現在の任務は、ただこの変容を監督するだけでなく、ライセンサーにとってアメリカの環境がかつてなく厳しくなっている時期に、IPナビが傑出した収益を生み出し続けるようにすることである。そのために、医療技術といった分野への焦点を強めて産業の多角化を行い、また外国の裁判所(ドイツが決まって好まれる)を使って交渉を推進させるであろう。IPナビが、自社の所有する特許収益化プラットフォームの使用を他のNPE、もしくは事業会社にさえ許諾する取引が増えても不思議ではない。

16 BJ ワトラス、アップル

世界最大の特許ポートフォリオを管理しているにも関わらず、BJワトラス氏は市場において他の者ほど目立つ人物ではない。これは自社の知財戦略についてできるだけ語らないというアップルの方針によるものである。しかし間違ってはならない。最高知財担当顧問であるワトラス氏は重要人物である。訴訟以外にアップルの知財関連事項の全てに責任を負う同氏は、ライセンス、M&A、方針およびポートフォリオといった分野を専門とする。そしてスマートフォン戦争が緩和してくるにつれて、こうした問題への焦点は強まるのみであろう。ワトラス氏は、2014年末のRPXへのロックスター特許の売却に密接に係わっており、まだ改革論議が続く中、定期的にワシントンDCに滞在している。また、アップルが2014年、通常同社とは関連性のない技術を含む特許ポートフォリオを多数を購入した興味深い取引の背後にも同氏の存在があった。これは、おそらく今後、製品範囲が拡大されるというシグナルかもしれない。このペースが今後12ヶ月間続かないと考える理由は全くない。

15 ケン・キング、IBM

製品やサービス事業においていくつかの一時的な問題があったにも関わらず、IBMは特許マーケットにおけるそのエリートの地位を保っている。2014年は、ビッグ・ブルー(IBMの愛称)が米国特許商標庁から付与された特許件数の連続最多企業となった22年目の年であった。知的財産担当ゼネラルマネージャーとして、ケン・キング氏は、この特許取得に対する数量アプローチがIBMの消費者向け商品とマッチするだけでなく、ライセンス供与や売上の点において利益を生むことを保証し、攻撃しようとする者を寄せ付けないようにすることに責任を負う。実際、これらの要素は表面的に見て思うよりも互いに密接に絡み合っている。2014年6月にピュア・ストレージがIBMから約150の特許を取得したのは、その防御能力故のことであった。さらに最近では、ビッグ・ブルーがその半導体製造事業をグローバルファウンドリーズに売却した取引において、特許が重大な役割を果たした。この取引により、前者は不採算部門を切り落とすことに成功した一方、後者はおそらく世界最大の半導体関連特許ポートフォリオを手に入れたことになる。

14 豊田秀夫、パナソニック

日本企業は従来、自社の知的財産の収益化には消極的であった。パナソニックはこの傾向に抵抗する数少ない企業の1つで、状況を好転させる施策を取り続けるにつれ、本国における知財価値創造の先駆者となりつつある。アライド・セキュリティ・トラストによると、パナソニックは2014年、世界のどの企業よりも多くの米国特許資産を売却しており、1月から6月の間だけでも10件の異なる取引において1,930の資産を売却した。同社はまた、自社ポートフォリオの収益化のためにNPE(特許不実施主体)との連携も目指しており、インベンタージー、シズベル、ウィーランなどと提携を結んでいる。また、IP Bridgeが管理する日本初の政府系特許ファンドに対する特許の譲渡と同ファンドへの投資も行っている。また、パナソニックが知財価値の創造を目指すのはライセンスや売却を通じてのみではない。3月には、モノのインターネット分野の開発を促進しようと、同分野の技術に関連する多数の自社特許やその他の知財資産に対するロイヤルティフリーのアクセスを約束した。2014年9月にパナソニックの子会社としてスピンアウトされたパナソニックIPマネジメントを率いる豊田氏とその知財チームにとっては、概して、多忙な一年であった。パナソニックグループ内の独立企業として、同社は独自の収益目標を持ち、知的財産は必ずしもコストがかかるだけではなく、正しい手法をとれば収益を上げることもできる事業資産であるとの考えをさらに印象付けている。

13 ウィリアム・メリット、インターデジタル

インターデジタルは、過去数年にわたり業績の多少の好転を経験したが、これはCEOビル・メリット氏による管理手腕に負うところが少なくない。2012年には、同社の買い手を探す試みが失敗に終わり、かなり見通しが暗い状態であった。メリット氏は方針を変え、インターデジタルは同社の総数2万件を超える特許ポートフォリオの収益化に一層努力するべきであると決意した。この戦略は、やがて成果を上げ始めた。2014年の間に、サムスン・エレクトロニクスとの重大な取引を含む数々の採算性の高いライセンス契約を締結すると、インターデジタルの株価はほぼ80%の上昇を見た。これを背景に、インターデジタルは、四半期配当を2倍にし、3億ドルの自社株買いに乗り出すことを発表するなど、ますます健全な経営状態を示している。2015年末に向けて、メリット氏とそのチームが直面する最大の課題は、標準必須特許の許諾を巡る不確実性であると思われる。インターデジタルは、米国電気電子技術者協会(IEEE)が2月に新方針を導入した後、同協会との関係を見直すことになると述べたが、メリット氏のIAMブログによれば、この新方針は、開発者がそのR&D投資の対価を得るのを「できるだけ困難に」するもので、「実施者に有利な状況となるだろう」という。

12 エリック・アンダーセン、マイクロソフト

ホラシオ・グティエレス氏の指揮の下、マイクロソフトの知財グループは、同社に年間数十億ドルを生み出すAndroidベースのライセンス・プログラムの構築に貢献した。2014年夏にグティエレスがマイクロソフト・クラウド事業へ異動してからは、エリック・アンダーセン氏は同グループを指揮している。Android取引はほぼ全てが締結済みであるため、同氏の主な職務の1つは収益の継続を確保することであるが、これには世界中のあらゆる地域において、特にライセンス契約やその他の知財取引に目を光らせる多くの競争法監督機関の活動について、不断の警戒が必要である。アンダーセン氏の今後のもう1つの大きな任務は、社外共同プロジェクトや多分野コミュニケーション、クラウド一般といった領域におけるマイクロソフトの優先権を反映する機能の構築であろう。同氏がこの職務に就き、現状確認を行った1年の間、同氏から多くのニュースは聞かれなかったが、2年目にはこの状況は疑いなく変わるだろう。

11 ラムジ・ハイダムス、ノキア・テクノロジーズ

ラムジ・ハイダムス氏のノキア・テクノロジー社長就任は、2014年の最重大事の1つであった。その役割は特許許諾よりずっと広いものであるが、これにより同氏は世界最大かつ最高品質のポートフォリオの1つを担うことになった。ドルビー・ラボラトリーズでの長いキャリアを経てきたハイダムス氏は、最先端技術に焦点を合わせた知財豊富な事業での職務に慣れている。この経験により、彼は最近再編されたノキアに最もふさわしい人材であり、テクノロジー部門での新たなバーチャルリアリティ製品の導入を含め、デジタルメディアのような新セクターにおけるイノベーションに重点を置く取り組みを後押しした。同氏の成功は、ノキア・テクノロジーズの技術革新や新製品発売のための取り組みの成果に大きく左右されるが、同様に重要なのは、特許ライセンス収益増大の監督という同氏の役割であろう。アルカテル・ルーセントとの合併という小事も抱えるが、この領域における成長潜在力は依然として大きい。[下記のインタビュー参照]

ラムジ・ハイダムス
特筆すべきオファー

フィンランドの巨大通信企業ノキアが、新製品の開発と特許ライセンス事業の監督を担う子会社ノキア・テクノロジーズを新たに設立した際、ラムジ・ハイダムス氏にとってそのトップを引き受けることは多くの点で完璧な機会であった。同氏は、最終的にチーフオペレーティングオフィサー・レベルの職にあったドルビー・ラボラトリーズを退職した後、充電のため2年の休暇をとることにしていた。しかし、ノキア・テクノロジーズの社長に迎え入れるというオファーが極めて魅力的であったため、6カ月早く休暇を切り上げて、このフィンランド企業の中核部分の方向性決定を支援する仕事に復帰した。

同氏は次のように説明する。「「まっさらな紙がここにある。新しい戦略を書いて実行せよ」と言われるのは本当に珍しいことです。起業家の素質を持つどんなエグゼクティブにとっても究極の夢です。」2014年9月に会社を率いて以来、同氏は、市場に革新を引き起こす可能性のある新技術の開発に注力し、最終的にデジタルメディアとデジタルヘルスの2つの分野に集中することを決定した。前者への取り組みはすでに新製品の発表として実を結び、7月に仮想現実映像撮影用カメラOzoが正式発表された。

同氏が素早く目を向けているとおり、ノキア・テクノロジーズは技術とイノベーションの会社であり、知財ライセンスを専業とする会社ではない。しかし、同氏はこの新ポストを引き受けると同時に、ライセンシングによって毎年利益を生む重要な機会を有し、特許において最も影響力ある地位の1つに就くことになった。売上成長の一部は、同氏の言う「防御的な姿勢から収益化重視の姿勢への転換」を軸とするアプローチの変更によってもたらされる可能性が十分ある。同氏はまた、新たな地域の市場やノキアの中核をなすモバイル以外のセクターでもライセンシングの機会を追及するよう全社に促した。

現在は、ハイダムス氏がノキアの中央法務チームから任命したイルッカ・ラハナスト氏によって指揮される特許事業が、新たな発明の開発、製造、売却およびライセンシングに充てられる継続的な売上をノキア・テクノロジーズにもたらしている。テクノロジーの世界には、同社の新たなトップと同じ種類の指導力と影響力を発揮する機会を与えられた者はほとんどいないだろう。(RL)

10 エドワード・ユング、インテレクチュアル・ベンチャーズ

2015年初め、ピーター・デトキン氏がインテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)のバイス・チェアマンの職を辞して非常勤的な役割を担うようになった。それに伴い、共同設立者でチーフ・テクノロジー・オフィサーのエドワード・ユング氏が取引の決定で一段と重要な責任を負うようになり、表に出る機会がはるかに増えた。同氏は、生体医科学分野での経歴をもち、以前勤めていたマイクロソフトでは多数のR&Dおよび消費者向け製品プロジェクトの立上げに関与した。こうした経歴から、同社の取引面に独自の特色をもたらし、知財の収益化やベンチャー育成、スピンアウトが絡む取引に重点が置かれるようになった。こうしたアプローチは、IVにとってそれまであまり聞かれなかった肯定的な評判につながった。IVは引き続き特許の購入、主張、ライセンシングを手掛け、2014年に最新ファンドの資金調達を完了しているが、同氏の活動が一定レベルの戦略的リバランスに結びつく可能性がある。その結果、従来型の特許市場が著しく変革されるにつれ、おそらく多額の配当がもたらされるであろう。

9 スティーブ・モレンコ、クアルコム

このところクアルコムは苦しい時期にある。2月には、長期に及ぶ反トラスト捜査の結果として中国の国家発展改革委員会から課せられた9億7,500万ドルの罰金を受け入れ、同国におけるライセンシングのアプローチの変更に同意したことを発表した。次いで7月には、検討対象事業を分離する可能性を伴う戦略的見直しに着手したことを認めたが、それに伴い、チップ製造子会社から好採算の特許ライセンス事業が分離されることになる。スティーブ・モレンコップCEOは、この見直しの詳細を明らかにする中で15%の人員削減を実施しつつあることも公表した。クアルコムはまた、IEEE(米国電気電子技術者協会)が最近行った標準必須特許の方針変更による影響にも対処しなければならなかったが、これは同社本社にとって好ましいことではなかった。これらの後退や困難にもかかわらず、同社が依然として特許ライセンスの世界的なリーダーであり、その結果、モレンコップ氏が特許市場有数の重要人物であることに疑いの余地はない。上記の事業分割が進行した場合、一部のアナリストの推計によれば、独立する特許会社の時価総額は870億ドルにも達する可能性がある。

8 エラン・ザー、フォートレス・インテレクチュアル・プロパティ・ファイナンス・グループ

エラン・ザー氏は、レメルソン・メディカルのエデュケーション・アンド・リサーチ・ファウンデーションのライセンス・プログラムを運営した後、RPXの共同設立者となった。これに飽き足らず、2013年にはフォートレス・インベストメント・グループからその知財ファイナンス・グループの発展を監督する任務を任されて、再び旋風を巻き起こすことになった。それ以来、同氏とそのチームは、特許のみを担保とする融資を提案し、事業会社やNPEと数十件の取引を締結してきた。過去1年の注目すべき仕事としては、2014年11月にインベンタージーと合意した1,100万ドルのファイナンス、2月にマラソン・パテント・グループと締結した1,500万ドルの契約、そして同月、追加的な資本提供のために、2013年にネットリストと合意したファイナンスを改訂した契約などがある。ザー氏は、フォートレスが関係する企業と厳しい値引き交渉をすると言われる。しかし、同社の取引実績が示すように、その提案を受け入れた相手は多数に上る。交渉成立が続けば、この分野に参入する企業がさらに増えると期待される。[下記のインタビュー参照]

エラン・ザー
金融マン

エラン・ザー氏は2013年にフォートレスで知財投資グループを立ち上げ、それ以降、NPEおよび事業会社の双方と取引を行ってきた。

フォートレス入社後の進展をどう評価しているか。主にどんな課題に直面したのか。
メッセージの発信という点で大きな進展がありました。その結果、知財ポートフォリオの担保化が権利行使や売却に代わる実行可能な手段であり、デットファイナンス(資金調達)を検討する際の有力な選択肢であることを認識する企業が、今ではますます増えています。

最初の課題は、特許それ自体が資産であり、活用できるという考え方を改めて市場に伝えることでした。初めてデットのソリューションを示したとき、大半の企業は特許ポートフォリオをデットファイナンスの担保として使えることを知りませんでした。実際、積極的にポートフォリオの収益化を探っていた企業でさえ、ポートフォリオの売却か権利行使だけを選択肢と考えていました。

また、借入希望者は、私たちのデットの提案が「策略」で、最後は私たちが特許を手に入れて、彼らは資産の支配権を失うことを懸念しており、そうした懸念への対応も必要になりました。何年もの間アグリゲーターや裁定業者が、より高い価値を引き出して自分の利益とするためにのみ特許を安く購入してきた後だけに、大部分の企業が特許の絡んだ金融取引に疑いの目を向けるのももっともでした。

もう1つの大きな障害は、市場における根拠のない、もしくは誤った市場価格の予想額を克服することでした。こうした予想は、特許に対する実際的な定性的・実質的見解ではなく統計的な定量的アプローチに基づいて評価額を提供する様々なコンサルティング会社によって非現実的な水準に設定されたものでした。

積極的に検討した取引機会のうち成立にまで至った件数は?
取引機会が私たちの引受プロセスまで達し、特許に価値があると確認できた場合、その特許を軸に取引を構築する幅広い柔軟性が内部で認められています。その結果、高品質の資産では高い比率で取引が成立しています。

NPEと多数の取引を締結されているが、NPE市場の状況をどう評価しているか。
様々な種類の権利行使主体があります。その一部は、デットファイナンスの担保として使用するのに十分な高品質の特許を保有しています。それにもかかわらず、そうした権利行使主体はすべて政治的批判にさらされる状況に直面しています。そのため、低品質の特許を使った短期的裁定のモデルを継続する主体は、最近の政治上・司法上の変化を生き延びられないと思います。一方、優れた評価モデルを持ち、長引く法廷闘争を続ける意思があり、資本が潤沢な収益化中心の主体は、生き延びるだけでなく成長する可能性があります。

重要な判決や特許改革に関する政界の継続的な論争を背景として、著しい不透明性が米国の特許市場を覆っている。その影響は?
不透明性や不確実性、リスクはどんな投資にも付きものです。特許改革の最終結果が特許の価値を完全になくすのでなければ、もっと正確に言えば、特許の対象となる実体経済の商品・サービスから特許クレームの範囲を切り離すものでなければ、最近の変化や変更案から悪影響を受けることはないと予想しています。

今後、主な成長機会はどこにあると考えるか。
知的財産全般、具体的には特許は、いずれそれ自体が資産とみなされるようになり、それに応じて、会計規則や取引規則の洗練化が進むと予想しています。主な成長機会は、特許評価のための一連の普遍的な尺度、基準とも言えますが、を正確に特定・定義し、イノベーションへの奨励と報酬を提供するとともに、裁判所の外で収益化の代替手段を提供することによってもたらされるでしょう。(RL)

7 ローラ・カテラ、カテラ・リンチ・インテレクチュアル・プロパティ

男性が多数を占める知財市場の中で、ローラ・カテラ氏は、これまでトップまで上り詰めた数少ない女性の1人である。コダック時代にその評判を築き上げた同氏は、知的財産部門責任者から始めて、同社の破産時にはプレジデントの職にあった。その後、コダックの同僚ティム・リンチ氏と共に手を広げ、知財アドバイザリー会社カテラ・リンチを設立した。それと並行して、2014年8月にはアルカテル・ルーセントの知的財産担当エグゼクティブバイスプレジデントに任命された。CEOに直属する同氏は、当初同社の3万2,000件の特許の「価値を解放する」ことを託されたが、すぐにノキアとの合併提案をめぐる継続的な交渉に深く関与するようになった。この取引は知的財産が重要な役割を果たすものであった。以上に加え、テクニカラーが将来の知財戦略に関して大株主と対立していた時期に同社の取締役でもあった。現在も同社に在籍するカテラ氏は、今度は新たな事業計画Drive 2020策定の監督に貢献する。[下記のインタビュー参照]

ローラ・カテラ
世界一流の取引交渉者

知財市場でローラ・カテラ氏ほど忙しい5年間を過ごした人を思いつくのは難しい。最初はコダック、次はアルカテルおよびテクニカラーで、同氏は最高のペースで最大級の取引に関与してきた。

知財市場に関わるようになったきっかけとは?
イーストマン・コダックの一般弁護士だったとき、財務分野の経験を積むためにチーフファイナンシャルオフィサーのところでインターンシップを行いました。法務部門に戻ったら、ライセンシングを中心とする知財の職務を提示されました。技術分野に明るくなかったので考えさせてほしいと言いました。しかし、適切なチームを組織することで5年間に40億ドルを生み出すことができました。急激に知識を増やし、コダックの荒波も経験しましたが、私は大いに楽しみました。

荒波の中にはコダックの破産も含まれていると思うが、その過程でどんな役割を担ったのか。
コダックの製品やサービス事業はデジタル化によって次第に苦しくなりました。ライセンシングで事業の売上を補完していたのですが持続可能ではありませんでした。ライセンシングの目標は達成困難になり、有意義な解決の実現には訴訟が必要になりました。破産時に私はチーフオペレーティングオフィサー兼消費者向けビジネス担当プレジデントでした。そして、最後までイーストマン・コダックに残ったごく少数のエグゼクティブの1人でした。

コダックを去った後、カテラ・リンチ・インテレクチュアル・プロパティを設立なさった。その立場とアルカテル・ルーセントの職務間でどうバランスをとったのか。アルカテルがノキアに売却されたときの役割は?
カテラ・リンチのビジネスモデルは「アンカークライアント」を持つことが前提となっており、当時それがアルカテル・ルーセントでした。私たちはアドバイザーとして組み込まれ、同社の収益化の取り組みに集中するとともに、この取り組みを支える組織構造を確保しました。CEOは、私たちがエグゼクティブとして加わることが重要と感じていたため、私は同社の社外役員としてCEOの直属となりました。コダック時代、私はチームと共にノキアとの長い交渉に当たりました。この時、強力な仕事上のつながりができました。そのため、私はノキアと協力したり、アルカテル・ルーセントで買収の準備を進めるのに格好の位置にいました。とてもエキサイティングで、契約を引き受けたときには全く予想もしないことでした。

買収が完了した今、あなたの計画は?
今のところ、ノキアへの移管が滞りなく進むように、良好に機能する組織とアルカテル・ルーセントの知財資産全体を引き渡すことに取り組んでいます。その後どうなるかはまだわかりません。春になったらまたお話ししましょう!

あなたはテクニカラーの取締役会にも入っているがそこでの役割は?
フランスの公共投資銀行で同社に投資していたBPIフランスが、フランス企業の知財資産の保護と活用への取り組みを強化していた時期にテクニカラーに加わりました。私は取締役としてそうした仕事を担当し、同社の知財への取り組み円滑に進み、適切なチームが構築されるように図っています。同社の戦略委員会の委員長も務めています。テクニカラーは3、4年ごとに戦略計画を正式に見直して更新しますが、最近、2020年までの将来計画を発表し、株主から非常に肯定的な支持を受けました。よって私たちは前進中であり、一刻の時間も無駄にしていません。テクニカラーは7月末、シスコの接続機器部門の取得に合意し、両社間の長期的な特許のクロスライセンスを含め、ビデオやブロードバンド、モノのインターネットのサービスを中心とするコネクテッドホームの次世代のソリューションを開発・実現するための戦略的提携関係を結びました。

大局的な状況に目を向けた場合、今日の特許市場およびその今後の展開をどう見ているか。
3つの点を挙げます。第1に、最も重要な特許取引は事業会社間で非公開に行われていると思います。第2は、中国が急速に資産を取得し、外国市場での競争を可能にするようなポートフォリオを構築しています。第3は、魅力的な才能ある人材がこの業界に現れようとしています。

新たに生まれる人材の中に女性は大勢いるのか?収益化や特許関連のポジションのトップに依然として女性が非常に少ないのはなぜだと考えるか?
従来、研究所は男性が大多数であったため、知財業務の職に就く研究所出身の技術者は、どうしても男性の方がずっと多くなります。しかし、こうした状況は明らかに変化しつつあると思います。そうした職に就く準備が十分整った女性が一段と増えているのです。彼女らがもっと表に現れることを期待しています。知財分野に興味のある女性には財務の教育を受けることを勧めます。それは、損益を語ることができなければ、知財のトップの資格はまず得られないからです。(SJC)

6 ビル・コグリン、フォード・グローバル・テクノロジーズ

近年、自動車業界は特許市場で以前よりはるかに注目を集める業種になっているが、その先頭に立つのがフォードである。過去1年、この米国の象徴的な自動車会社は、RPXに参加した最初の(そして今のところ唯一の)自動車メーカーとなり、ライセンス・オン・トランスファー(譲渡時ライセンス付与)ネットワークの契約を結び、インテレクチュアル・ベンチャーズと先駆的なライセンス取引を締結した。さらに、巧妙な原告を相手とする当事者系レビューの請求への選好を強めており、フォードの特許戦略はますますハイテクセクターの最優秀戦略との類似度が増している。ビル・コグリン氏は、フォード・グローバル・テクノロジーズのプレジデント兼CEOとして、同社とその子会社の世界全体の知財問題すべてに責任を負っており、同社が重要プレーヤーとして登場するのに中心的役割を果たした。同氏はまた、自動車業界の知的財産に関して透明な市場を作り出すために発足した非営利組織オートハーベストの設立者でもある。

5 ジム・スキッペン、ウィーラン

ウィーランのプレジデント兼CEO、ジム・スキッペン氏にとってはかなり忙しい1年となった。このカナダのNPEは6月、7,000件の取得特許と出願特許のパッケージから構成されるキマンダのポートフォリオを3,300万ドルで購入することを発表した。この資産には多数の担保権が設定されているとはいえ、規模だけとっても、ウィーランにとって画期的な取引であった。同氏は、取引締結に引き続き、サムスンとのライセンス取引を直ちに公表した。そして同時に、同社を退職して、トップを務めた9年のキャリアに終止符を打つ意思を明らかにした。同氏が、ウィーランの基礎を強固にして去ったことは議論の余地がないであろう。同社の時価総額だけ見ても、在任期間中に3,000万カナダドル以下から3億カナダドル以上に拡大した。したがって、同社は、最も強固な資本基盤を有する最大のNPEとして市場で選好され、極めて有利な位置に立っている。スキッペン氏自身も、NPE業界有数の重要人物としての定評を確立し、市場が大きく混乱する時期に冷静な見解を示している。[下記のインタビュー参照]

ジム・スキッペン
退任へ

去る7月、NPEのウィーランは、9年間CEOを務めたジム・スキッペンの退任を発表した。在任中同氏は、低迷する事業会社から特許収益化市場でも屈指の有力プレーヤーへと、ウィーランを転換する指揮をとった。

あなたが入社したとき、ウィーランは特許をほとんど保有しておらず、収益化のビジネスモデルに集中していなかった。その後の変化はなぜ、どのように生じたのか。
当時のウィーランは実際に破綻しかけていました。失敗した生産会社で、有望な特許を少数所有していたものの、従業員も売上も銀行の現金もなく危機に瀕していました。当時私は、少数の有用な特許を持つパブリックシェルとして、ウィーランは特許ライセンス事業を軌道に乗せるための効果的な手段であると感じていました。

ウィーランの再生の初期には特許のライセンス供与に集中し、株式市場が積極的な時期には資金調達に注力しました。これにより、手持ちの特許や現金を継続的に増やすことが可能になりました。

私が心から確信しているのは、ライセンス契約は締結することが肝要だということです。最後の1ドルまでこだわるという考え方にはほぼ絶対に賛成しません。自社の特許に行き過ぎた対価を強く要求するという過ちを犯して失敗した会社もあると考えています。

ウィーランが進むべき正しい方向は特許の収益化にあると考えた理由は何か。その理由は今でも有効か?
特許の収益化は間違いなくウィーランにとって正しい方向でした。実を言えば、多分それ以外の方向はありませんでした。その時点までに資金が完全に底をついており、製品も販売していませんでした。厳密には破産状態だったのですが、少数の特許はまだ保有していました。他に選択肢はなかったのです。

1992年の設立後、私たちがモデルを変更した2006年までキャッシュフローがプラスになった年はありませんでした。変更後は、どの年のキャッシュフローもプラスでした。ウィーランはカナダ有数の上場技術系企業となりました。トロント証券取引所の総合指数にも採用されました。現在もS&P/TSXカナディアン配当貴族指数に採用されています。

昨年の重要な動きの1つは、元キマンダのポートフォリオを購入したことだった。最近あなたは、ウィーランは大規模な購入から撤退すると示唆したが、特にこのことを踏まえた場合、その購入の背後にはどんな要因があるのか。
当社にとって、キマンダの特許の購入は単純な取得として理にかなったものです。しばらくの期間、手元に活動資金があったのです。当社は、状況が許せば、常にその一部を投入する用意がありました。

インフィニオンが、収益の配分のみを求めてキマンダのポートフォリオを移転するつもりだったのなら、当社もそれを検討したでしょう。しかし、インフィニオンは実際にそのポートフォリオで資金を調達しようとしていました。当社の理解では、そのポートフォリオをめぐって競合する入札者は現金前払いでした。対抗するために、当社も現金前払いを申し出る必要がありました。

購入時にサムスンがそのポートフォリオの非独占的ライセンスを取得しようとしていたという事実は、当社にとってその取引のリスク低減の助けとなり、前払金の支払いがはるかに容易になりました。

ウィーランは、提携を通じて日本企業の特許のライセンシングや主張を支援するという点で、NPEの中でも特に大きな成功を収めたようだが、その理由は?
最近当社は、パナソニックからポートフォリオを2件、ロームから2件、船井電機から1件取得しました。これらのポートフォリオは1件以外すべて前払金が不要でした。つまり、特許ライセンスによってそれらのポートフォリオから期待される価値を取得する当社の能力が、それらの企業すべてから信頼されているのです。

当社が日本の大手企業とその種の取引を締結できる理由は多数あると思います。1つは実績です。当社は、多種多様な技術分野の第三者のポートフォリオから数百件のライセンス契約を生み出しました。したがって、当社の能力は繰り返し証明されています。もう1つは、潤沢な資本と大規模で安定したチームを有しているということです。さらに別の要因は、R&Dに継続的に取り組んでいることが魅力となる場合があることです。つまり、当社は特許を収益化する弁護士と投資家の集団であるだけでなく、エンジニアリングの分野でも活動しています。(JE)

4 ジョン・アムスター、RPX

2014年12月におけるR PXによるロックスターの特許の取得は、ノーテルが所有者であった前回の入札ほどマスコミの注目(あるいは入札への関心)を集めなかったかもしれないが、明らかに年間最重要特許取引と言えるものであった。この9億ドル規模の取引は多くの点で、ジョン・アムスターCEOが2008年にRPXを共同設立したときに導入したビジネスモデルの有効性を証明した。RPXによれば、同社はこの取引の一部として、グーグルやシスコを含む30社以上から成るシンジケートからライセンス料を受け取る。この防衛的特許アグリゲーターは約3,500万ドルの自己資金をこの取引に投じた。2013年のコダックの特許取得(RPXはインテレクチュアル・ベンチャーズと協働)と同様、ロックスターからの譲渡は、RPXが明らかに熟達している特許取引における主導的役割を演じられる企業はほとんどないことを立証した。だからこそ、アムスター氏は特許取引市場有数の影響力のあるプレーヤーとなっている。[下記のインタビューを参照]

ジョン・アムスター
変化の中で変わらないもの

防衛的特許アグリゲーターがそのメンバーのために特許制度の安全性を高めるのに成功した場合、特許制度の存在理由が幾分損なわれる、と示唆されることがある。RPXのジョン・アムスターCEOにとって、これは全く意味をなさない。同氏は、企業が直面し続ける特許主張の脅威についてこう述べる。「これは常に大きな問題です。その背後には大きな資金を持つ人々がいます。彼らは、特許を購入してその権利を主張することを仕事にしています。これがなくなることはありません。」

とはいえ、RPXは主張に対する大きな保護をメンバーに提供するという点で極めて重要な役割を担ってきた。最近も、事業の成長および200社以上のメンバーに対する脅威の解消に関して多くの成功を享受している。

2014年末、RPXは、間違いなく年間で最も重要な意味を持つ特許取引の立役者となり、2011年に入札で熾烈な競争が演じられたロックスターのポートフォリオを取得した。この9億ドルの取引を成立させるために、RPXは多額の自己資金を投入するだけでなく、シスコやグーグルを含む技術系企業36社をグループとしてまとめ、取引の資金援助を受ける一方、ポートフォリオをライセンス供与した。

この種の取引の成立には様々な困難を伴うが、同氏の示唆するところでは、おそらく最大の困難は、関係者全員に望みすべてがかなうわけではないと悟らせることであった。政界における特許改革をめぐる最近の論争が示すように、この市場ではその達成が難しいことがある。

ロックスターの取引はRPXの戦略に極めてよく整合するものだったが、同社は保険など新分野への進出も引き続き推し進めている。同氏は、これは当然のステップだと主張する。「常々、特許市場に欠けているものの1つは保険だと感じていました。世の中では保険があらゆる資産グループの土台になっています。」

ごく最近、RPXはデジタルセキュリティ会社タイフーンに500万ドルの債務・株式投資を行ったが、これは、特許会社のRPXにとって初めての試みであった。同氏は、「この取引はどちらかと言えば、機を見て行った特別なものです」と述べた後、他社がこれに倣うかどうか分からないと付け加えた。この動きが示すのは、おそらく何よりも、RPXは事業の一部が減速した場合、成長を求めて新しい道を探求する用意が常にあるということである。この柔軟性こそが今後も、同氏に指揮されるRPXの顕著な特徴となることは確かであろう。(RL)

3 カシム・アルファラヒ、エリクソン

毎年特許ライセンスのロイヤルティから10億ドル以上を生み出す企業はほとんどない。エリクソンはその1社であり、その達成を監督するのが最高知的財産責任者(CIPO)カシム・アルファラヒ氏の役目である。この利益(およびその成長)の重要性は、同氏がハンス・ヴェストベリCEOに直属することに表れている。同社は、3万5,000件の特許から成るポートフォリオ(その多くが移動体通信の最先端分野の標準必須特許)を保有する有力ハイテク企業である。そして、最近注目を集めたアップルやサムスンなどとのロイヤルティ料の紛争が示すように、アルファラヒ氏の下で同社は今後もそうあり続けることを決意している。エリクソンは、IEEE(米国電気電子技術者協会)が最近変更した異論の多い標準必須特許の方針を受けて、新制度の下ではライセンスのために特許を提供しないと述べた。同社は、インドとブラジルで裁判を利用して、協力を拒む中国の低コストスマートフォンメーカーの動きを阻止した。世界が5Gへと移行し始めるなか、アルファラヒ氏とエリクソンに非常に多忙な日々が続くことにほぼ疑いの余地はない。

2 エリック・スパンゲンバーグ、nXnパートナーズ

ヘッジファンド投資家のカイル・バス氏とIPナビの設立者エリック・スパンゲンバーグ氏が、製薬特許について申し立てた一連の当事者系レビューは、たちまち特許業界で今年の注目の的となった。バス氏が、この取り組みの対外的な顔として多くの金融記事に登場しているのに対し、スパンゲンバーグ氏は当事者系レビューの指針となる特許の知識を提供している。この請求によって、両者は製薬業界を震え上がらせただけでなく、政界における特許改革の論争の枠組みを変えた。レビュープロセスの変更は、両者の請求前はほとんど注目されなかった発想であったのに、今や新たな法案に影響する主要論点の1つとなった。そして、ハイテクセクターと製薬セクターには激しい分裂が生み出された。スパンゲンバーグ氏は、IPナビの日常的な運営からは身を引いたようであるが、依然として大株主の地位にある。同時に、他の多くの収益化プロジェクトに従事しているほか、nXnパートナーズのCEOとしてアナリティクスに基づく高度な助言を広範なクライアントに提供している。彼は万人から愛される存在ではないかもしれないが、知財市場に対する影響力はおそらくかつてないほど強い。

1 アレン・ロー、グーグル

2015年にグーグルの特許チームほど多忙をきわめたところはほとんどなかった。この巨大検索企業は上期にグーグル・パテントの新バージョンを発表し、広範な情報源から先行技術を検索することを一層容易にした。また、特許買取推進プログラムを開始し、知的財産を同社に売却する簡素化された方法を特許権者に提供した。さらに、グーグルの特許を無償でスタートアップ企業に譲渡することを目的とする特許スタータープログラムを発表した。これらのイニシアティブの立役者は特許・特許訴訟担当次席法務顧問のアレン・ロー氏である。同氏は、データアナリティクス分析などの分野の専門能力をさらに拡充して特許チームを再編すると同時に、外向きの視点を徹底した。特許業界におけるグーグルの役割については依然意見が割れている。しかし、同氏とそのチームは、低い特許品質や特許不実施主体(NPE)に特許資産を売却する事業会社など、特許制度の欠点と捉えた事項の是正に引き続き尽力している。相互に著しく異なるイニシアティブに取り組むチームを指揮する同氏は、ほとんど誰も及ばない市場支配力をさらに拡大している。[下記のインタビュー参照]

アレン・ロー
特許業界一の多忙人

2012年にジュニパー・ネットワークスからグーグルに移って以降、アレン・ロー氏はこの巨大検索会社の特許グループにゆっくりと影響を及ぼしてきた。無秩序に拡大したポートフォリオを抱え、特許市場で複雑に入り組んだ利害関係を有するこの巨大企業の特許・特許訴訟担当次席法務顧問として、同氏は、グループの成功の功績は主にチームにあると言う。しかし、グーグルの特許部門の再編と拡大に決定的に重要な役割を演じたのは彼自身であった。その一例は、ポートフォリオ管理におけるデータ分析に以前よりはるかに大きな重点を置くようにしたことである。

同氏はまた、特許品質の向上やNPEによる訴訟の脅威の解消など、グーグルの優先事項の多くに焦点を合わせた最近の一連の取り組みも監督してきた。同社は2015年上期、特許買取推進プログラムと特許開始プログラムを発表した。前者は、特許権者に自身の資産をグーグルに売却する機会を提供することを目的とし、後者は、スタートアップ企業50社にグーグルの特許中2つを無償で提供すると同時に、ライセンス・オン・トランスファー・ネットワーク(LOTNet)への加入を奨励するものである。これらの取り組みは、直接配当を生み出すだけでなく、強力な分析ツールを備えたグーグルに、将来の問題や新たな機会をもたらす可能性のある外部要因に関する詳細な知見を提供するものであった。

一方、夏の初めに立ち上がった改訂版グーグル・パテントは、先行技術を検索するための改良版プラットフォームをユーザーに提供した。同社はまた、シスコ、LG、サムスン、ベライゾンなどと重要なクロスライセンス契約を締結する一方、RPXがロックスターの特許を購入した取引の一部として当該特許のライセンスを取得した。さらに、NPEの攻撃に対する会員の防御の強化を目的とするLOTNetが2014年に発足し、グーグルはその設立に中心的役割を果たした。これらを考え合わると、特許市場でグーグルほど多忙だった企業が他にないことは明白である。その中でロー氏は、各プロジェクトに関する日常的決定のすべてに関与できないとしても、それらのイニシアティブの成功に向けて正しい方向を示し、理想的なプラットフォームを確立することに注力している。

同氏はこう説明する。「私の出番はたいてい初期の段階です。言い換えれば、様々なアイデアの出現を可能にし、一定量のそうした議論が円滑に行われる助けをし、さらにはリスク追跡の文化の醸成を試みるための環境を確実に整備するのが私の仕事です。」

このことは、グーグルが自身のポートフォリオをどう利用するかに対する非常に創造的なアプローチの特徴にもなっている。同氏はそれを、訴訟の脅威を回避する純粋に防御的な手段や、収益化して最終利益を増やすための資産として捉えるのではなく、別の考え方をとることを奨励してきた。

「特許の主張という点で、あるいは収益化などの事柄に関して、もっと積極的になり得る分野がたくさんあります。私たちは、多くのアイデアを試しましたが、最終的には、私たちが開始したそれらのことすべてが、正しいと考えられること- グーグルにとって良いだけでなく、私たちが他企業も実行してほしいと望んでいること - と整合するようにしたいと思っています」と同氏は振り返る。つまり、各プロジェクトは、同社の膨大なポートフォリオとハイテク業界における同社の地位を活用して、特許制度に関する自身の構想を推進する手段と位置付けられている。

しかしながら、一部の市場参加者にとってグーグルは、どの企業が米国の特許制度をなし崩しにしようとしているかと聞かれて通常真っ先に思い浮かべる会社である。このことはほとんどの場合、特許改革をめぐって政界で進行中の論争に関連している。同社はこの論争で最も熱心に新法令を擁護している企業の1社である。

現在の議会で果たして何かを成立させることができるかどうか危ぶむ見方が強くなっているが、同氏は、依然合意は可能であると強調する。「諸企業がこの議論に関与し、全員満足できる合意や解決策に到達しようとする意思があれば、今年中に何らかの制定は可能と確信しています。その意思がなければ可能性は低くなります。」

全体的に見て、同氏の在籍により、グーグルの特許グループが以前よりずっと大きな影響力を持つようになったことに議論の余地はないだろう。同氏は、チームの最近の努力によって外部の見方が変わったかどうかは分からないという。しかし、グーグルが何を支持しているか市場に知ってもらうことを同氏は目指している。

「私の希望は、業界の他の参加者ともっと交わることで、他の人たちが少なくともグーグルの立場についてもっと知ってくれるようになることです。多分かつては、グーグルの関心がどこにあり、どんな動機を持っているのかについて幾らか疑問があったと思います。言葉だけでなく行動によっても実現したいと思うのは、グーグルの根源がどこにあり、何をしたいと願っているのかをもっと明瞭にすることです」。ロー氏の指揮下で、グーグルは間違いなく言葉よりも行動が雄弁に語る例の1つになっている。(RL)
 
2014年IAMマーケットメイカー
1. ホラシオ・グティエレス、マイクロソフト
2. ピーター・デットキン、インテレクチュアル・ベンチャーズ
3. スティーブ・モレンコップ、クアルコム
4. ケン・キング、IBM
5. エリック・スパンゲンバーグ、IPナビ
6. カシム・アルファラヒ、エリクソン
7. ヨアフ・ロス、ハドソン・ベイ・キャピタル
8. ポール・メリン、ノキア
9. ジョン・ベスキ、ロックスター
10. ケント・ウォーカー、グーグル
11. マシュー・ヴェラ、アカシア
12. ジョン・アムスター、RPX
13. ジェフリー・スミス、スターボード・バリュー
14. ボリス・テクスラー、テクニカラー
15. ジョン・リンドグレン、コンバーサント
16. ナビーン・ナタラジ、エバーコア
17. エラン・ザー、フォートレス・インベストメント・グループ
18. ジェラルド・デブラジー、ラウンド・ロック
19. アンドリュー・パールマン、ブリンゴ
20. ダン・マッカーディ、アライド・セキュリティ・トラスト/パテントフリーダム
21. ピーター・ホルデン、IPバリュー
22. ノリーン・クロール、アップル
23. アイラ・ブルンバーグ、レノボ
24. ダグ・クロクサル、マラソン・パテント・グループ
25. ウィリアム・メリット、インターデジタル
26. ジム・スキッペン、ウィーラン
27. 郭台銘、ホンハイ(鴻海)
28. ジェラルド・ホルツマン、PMC
29. ロン・エプスタイン、エピセンターIPグループ
30. 御供俊元、ソニー
31. リチャード・フィールズ、ジュリディカ・インベストメンツ
32. ブライアン・ヒンマン、フィリップス
33. 豊田秀夫、パナソニック
34. ダナ・ヘイター、インテル
35. バーナード・フローウィッター、IPコム
36. イザール・アルモニー、チャールズ・リバー・ベンチャーズ
37. アシュリー・ケラー、ゲルヒェン・ケラー・キャピタル
38. ガイ・プルークス、トランスパシフィックIP
39. クレイグ・トンプソン、アルカテル・ルーセント
40. スン・ガン・カン、インテレクチュアル・ディスカバリー
2015年IAMマーケットメイカー
1. アレン・ロー、グーグル
2. エリック・スパンゲンバーグ、nXn
3. カシム・アルファラヒ、エリクソン
4. ジョン・アムスター、RPX
5. ジム・スキッペン、ウィーラン
6. ビル・コグリン、フォード
7. ローラ・カテラ、アルカテル・ルーセント
8. エラン・ザー、フォートレス
9. スティーブ・モレンコップ、クアルコム
10. エドワード・ユング、インテレクチュアル・ベンチャーズ
11. ラムジ・ハイダムス、ノキア
12. エリック・アンダーセン、マイクロソフト
13. ウィリアム・メリット、インターデジタル
14. 豊田秀夫、パナソニック
15. ケン・キング、IBM
16. BJ・ワトラス、アップル
17. ディアドレ・リーン、IPナビ
18. サイモン・シガース、ARM
19. ブライアン・ヒンマン、フィリップス
20. マシュー・ヴェラ、アカシア
21. カイル・バス、ヘイマン・キャピタル
22. ダグ・クロクサル、マラソン
23. 西本裕、NEC
24. ガイ・プルークス、トランスパシフィックIP
25. ジャン-シャルル・ウルカド、フランス・ブルベ
26. ステファン・ルージョ、テクニカラー
27. 御供俊元、ソニー
28. アシュリー・ケラー、ゲルヒェン・ケラー・キャピタル
29. ジョン・リンドグレン、コンバーサント
30. ジュ・スプ・キム、LGエレクトロニクス
31. ダナ・ヘイター、インテル
32. 長澤健一、キヤノン
33. アイラ・ブルンバーグ、レノボ
34. ボリス・テクスラー、アンワイヤード・プラネット
35. ピーター・ホルデン、ipCreate
36. 周延鵬、ウィスプロ(世博)/ScienBiziP(賽恩倍吉)/MiiCs&パートナーズ
37. ジョー・チェルネスキー、クデルスキー・グループ
38. クワン・ジュン・キム、インテレクチュアル・ディスカバリー
39. ジェラルド・ホルツマン、PMC
40. ロン・エプスタイン、エピセンターIPグループ

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