オールド・ルーティンの復活

This is an Insight article, written by a selected partner as part of IAM's co-published content. Read more on Insight

米国、アジアの大企業が牽引役となり、数年にわたり低迷を続けた特許取引市場が2014年に再び活発の兆しへ

この十年間で産業界のコンバージェンスが進んだため、特許資産の売却は企業のポートフォリオの収益性の向上と知財ポジションのバランスを保つために重要な役割を果たしてきた。

コンピューティングがサーバーからデスクトップへ、さらにモバイルデバイス、ウェアラブルデバイスへと移行し、知的財産権をめぐる状況は劇的に変化した。技術のコンバージェンスにより業界リーダーの顔ぶれが根本的に一変した例はウェブサービスとクラウドコンピューティングにも見られる。市場に新規参入者が多く登場した一方で、かつての影響力を失った企業もある。企業は絶えず予算圧力を受けながら特許収益化に取り組み、活発なポートフォリオ管理を行い、特許取引市場は活性化している。同時に、小企業、発明家、大学などは知財資産の売却による資金調達がし易くなった。

大部分の特許取引は非公開であり、シェル・エンティティを利用した取引、M&A、有価証券取引を伴う場合が多く、そうでなくても単に資産を企業から企業へ移管する案件とは異なる形態をとることから、マーケットトレンドに関するデータを入手し、理解するのは容易ではない。

米国特許商標庁(USPTO)の特許権譲渡状況

特許取引市場をさらに理解するべく AST(Allied Security Trust)は、2010年1月から2014年6月までに米国特許商標庁に登録された1,419,268件の特許権譲渡をもとに調査を行った。全ての特許取引が登録されているわけではないので、恐らく取引実数は今回の調査対象件数を上回るだろう。調査チームが特許権譲渡を個別に分析するにあたっては、まずM&A、事業部の売却、発明家による企業への売却、担保、先取特権、名義変更関連の取引を除外し、純粋な特許取引のみを反映させた。次に、複数の譲渡を単一取引に統合し、譲受人、譲渡人の名義を親会社に統一した。次に、企業を業種、売上高、所在地、取引特許の技術別に分類し、データを分析した。

2010年以降、3,709件を超える特許取引の内、米国資産68,430件、売り手企業2,476社、買い手企業1,517社を識別した。この膨大なデータをもとに分析した結果、ASTは幾つかの興味深いトレンドを特定した。

2011年には、注目を集めたノーテルの特許売却を含め、1,128件という調査対象期間中で最大の取引件数が記録された(図1)。2011年以降、年間の取引件数は大幅に減少し続けたが、2014年には取引が再び急増し、同年6月までの取引件数は372件、関連資産数は10,831件となった。2014年通年の取引資産数は2013年より50%以上増加する可能性があると我々は予想している。

図1. 年間特許取引数及び米国特許数

17970.jpg

図2は、米国および国際特許分類記号に基づいた業種別の特許取引件数を示す。それぞれの取引は、特許の技術内容に基づき、業種別に分類された。

図2. 業種別取引数*

18000.jpg

*1取引につき1業種

ハイテク業界の優勢

2010年以降ハイテク業界が特許取引の大部分(78%)を占める。 コミュニケーション、ソフトウェアテクノロジー関連資産が2014年の取引に占める割合は60%を上回る。コミュニケーション関連取引の70%を「特許ホールディング会社」が購入した。「特許ホールディング会社」とは製品製造やサービスを提供しない特許不実施主体やパテント・アグリゲーター(特許集積業者)と我々は定義している。特許ホールディング会社は半導体、ソフトウェア業界でも活発である。 ソフトウェアテクノロジー関連の取引が1,000件を超え、インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)がその33%を購入した。「その他」の資産の 30%以上は自動車産業関連だった。

同じデータを業種別資産数で分析した結果(図3)、コミュニケーション資産の取引件数が最大であることがわかった。これらの資産の主な売り手はノーテル、ヒューレット・パッカード(HP)、パナソニック、エリクソン、コダック、IBM、マイクロン・テクノロジーなどの大手事業会社数社である。

図3. 取引レベルカテゴリー別資産数*

16525.jpg

*1取引につき1業種

今回の分析対象特許取引の中で、2011年にノーテル・ネットワークスがロックスター・コンソーシアムに3,741件の特許を45億米ドルで売却したのが価格と資産数ともに最大だった。2010年にマイクロンがラウンド・ロックに3,434件の特許を委譲したのがこれに次ぐ。

2014年上半期の注目すべき特許取引:

• ヒューレット・パッカードによるクアルコムへの1,408件のコミュニケーション特許 (2010年以降4番目の規模)

• IBMからツイッターへの943件のソフトウェア特許(2010年以降6番目の規模)

• パナソニックからIPブリッジへの857件のエレクトロニクス特許

• エリクソンからオプティスへの777件の コミュニケーション特許

• アメリカン・エクスプレスからインテレクチュアル・ベンチャーズへの685件のソフトウェア特許

売り手

資産の売り手を見てみると、特許の最大の売り手は事業会社であることが明白になった(図4)。過去数年、売り手と買い手に占める事業会社と特許ホールディング会社の割合は安定している。事業会社が売却資産の80%以上に貢献する一方、特許ホールディング会社は取引資産の46%を購入する代表的な買い手である。

図4. 取引当事者別取引資産

16617.jpg

近年、過去に購入した特許を売却しようとする特許ホールディング会社が増加しているため、今後特許ホールディング会社が売り手として増加することが予想できる。しかし、全般的に、特許ホールディング会社による特許資産買収は売却の倍以上になる。AST、RPX、OIN、CPTNなどのデフェンシブ・コンソーシアムが市場のバイヤーの12%を占める。デフェンシブ・コンソーシアムが究極的には事業会社の集まりであることから、特許取引全体の54%超を事業会社が購入していることになる。研究開発機関、大学、個人発明家による売却資産が取引資産全体に占める割合は 4%にとどまる。

大企業が最も活発

更に、事業会社を売り上げ別に分類すると(図5)、売上高5億ドル超の大企業がとりわけアクティブな売り手であることが明白になる。これらの企業は事業会社取引の45%、取引全体の 27%を占める。取引資産数ではこれらの数字は更に高くなる。事業会社が売却した資産の78%、取引資産全体の62%を大企業が占める。大手事業会社が買収サイドも牽引しており、取引資産の59%、事業会社が買収した資産の80%を占める。売上高1億ドル未満の企業も事業会社取引の39%、取引全体の21%を占めるアクティブな売り手である。しかし、事業会社の取引資産では12%にとどまる。これは恐らく、知財ポートフォリオの規模が小さいことが理由だろう。

図5. 2010年以降の売上高別事業会社

会社規模

売上高

5億ドル超

5,000万ドル超

5,000万ドル未満

16654.jpg

2010年以降、取引総数の59%に相当する876件の買い手は大手事業会社だった。取引資産数は22,991で、事業会社の総資産の80%に相当する。

米国の特許の価値が最大

一般的に、米国の特許が他の地域より価値が高いとの認識があるのは、おそらく米国市場での訴訟が多いことに起因するだろう。しかし、特許取引に関わっている企業は世界各地に拠点がある。図6が示すように、北米の事業会社は取引の65%以上を占める最もアクティブな売り手であり買い手でもある。アジア企業は現在ではワールドワイドの特許申請の過半数を占めるようになったが、過去にはポートフォリオの収益化を行っていなかった。しかし今回のリサーチは、アジアの事業会社の 資産売却比率が前年比で確実に伸びていることを示唆する。アジア企業が売却した資産は、2014年上半期だけでも2010年通年の四倍に上る。過去数年で取引売却数は倍増した。市場ではアジア企業による特許オファーが増加しており、今後この比率が更に高くなると我々は予想する。

図6. 事業会社の所在地

18134.jpg

表1が示すように、トップセラー15社中10社は事業会社である。2010年以降、IBMは取引資産全体の 11%を占める6,111件の資産を含む57件の取引を行い最大の売り手である。この中で11件の取引はグーグルへの2,379件の特許の移転など、100件以上の資産を含む。AT&Tやノキアなどの売り手はより小規模の取引に関与している。AT&Tが携わった35件の取引中、24件に含まれる資産数は10件未満である。アライド・セキュリティー・トラスト(AST)は「キャッチ・アンド・リリース」モデルに基づき、2007年以降に買収した多くの資産を含む29件の売却に関与している。

表1. 2010年以降のトップセラー15社と取引数

No

売り手

2014年上半期

2010年 – 2014年6月

取引数

資産

取引数

資産

1

IBM

12

1,066

57

6,111

2

AT&T

4

69

35

405

3

ノキア

3

22

30

940

4

アライド・セキュリティー・トラスト

4

349

29

704

5

サイプレス・セミコンダクタ

2

207

29

441

 

6

インテレクチュアル・ベンチャーズ

5

115

27

673

7

ヒューレット・パッカード

3

1,430

25

2,742

8

IPG ヘルスケア/エレクトロニクス

0

0

21

850

9

パナソニック

10

1,903

20

2,112

10

デルファイ・コーポレーション

3

25

20

266

11

NXP

4

141

19

843

12

イノベーション・マネジメント・サイエンス

0

0

19

64

13

ベライゾン・コミュニケーションズ

1

14

18

298

14

アカシア・テクノロジーズ

2

6

18

194

15

ゼロックス

1

1

16

252

その他の売り手 (2,461)

318

5,483

3,326

51,535

表2は、2014年のトップセラー15社を示す。パナソニック、ヒューレット・パッカード、IBMが各々2014年上半期に1,000件以上の特許を売却し、市場をリードする。2010年以降パナソニックが売却した全資産の90%以上は2014年上半期に集中しており、売却の取り組みを拡大している。パナソニックは引き続き市場に多くのポートフォリオを提供しており、恐らく2014年のトップセラーになるだろうと我々は予想している。ヒューレッット・パッカードは過去数年資産を売却してきたが、2014年に行った取引3件で過去最高の1430件の米国資産を譲渡した。2014年上半期には、インテルと東部ハイテック が売り手として初登場した。

表2. 2014年のトップセラー15社と売却資産数

No

売り手

2014年上半期

2013年

取引数

資産

取引数

資産

1

パナソニック

10

1,903

3

59

2

ヒューレット・パッカード

3

1,430

4

52

3

IBM

12

1,066

15

827

4

エリクソン

1

777

1

822

5

アメリカン・エクスプレス

1

685

2

27

6

アライド・セキュリティー・トラスト

4

349

3

14

7

アルカテル・ルーセント

3

295

2

54

8

ルネサス・エレクトロニクス

1

226

0

0

9

パートナーズ・フォー・コーポレートリサーチ・インターナショナル

1

211

1

1

10

NXP

4

141

1

3

11

サイプレス・セミコンダクタ

2

207

4

21

12

ペンドレル

5

138

3

45

13

インテル

1

129

0

0

14

ラムバス

4

127

2

53

15

東部ハイテック

2

125

0

0

その他の売り手 (2,461)

318

3,022

541

9,455

当然、表の大部分のトップ事業会社の特許ポートフォリオの規模は大きく、そこから売却が行われている。変化する市場の展望と財政制限の中、これらの大規模ポートフォリオは余剰資産を生み、潜在的な収入源となってきた。不必要な資産の売却は知財部門のポートフォリオ維持費削減効果もある。近年、パナソニックやルネサス・エレクトロニクスなどのアジア企業はより積極的に資産売却に取り組んでいる。他のアジア企業もこれに追随し、今後特許取引は更に拡大すると我々は予想する。

買い手

表3は、2010年以降のトップバイヤー15社を示す。この中で、9社が特許ホールディング会社であり、取引資産の37%を占める。トップは、インテレクチュアル・ベンチャーズで、2010年以降、10,743件以上の取引資産を有する941件の取引を行い、他の会社を大きく引き離す。RPX、AST、OINなどは事業会社を代表し資産を購入するパテント・アグリゲーターであり、重要なバイヤーでもある。これらのアグリゲーターは168件の案件に携わり、その資産は2,700件以上である。他のアクティブな特許ホールディング会社にはアカシア・テクノロジーズ、コンバーサント、インテレクチュアル・ディスカバリー、テセラ・テクノロジーズ、 Wi-Lanが顔を並べる。韓国の特許アグリゲーターであるインテレクチュアル・ディスカバリーは、韓国政府が3分の1を、民間セクターが3分の2を出資しており、2010年以降36件の買収を行い、そのうち2013年は最もアクティブな年として25件の買収を行った。

表3. 2010年以降のトップバイヤー15社と取引数

No

売り手

2014年上半期

2010年 – 2014年6月

取引数

資産

取引数

資産

1

インテレクチュアル・ベンチャーズ

62

1,061

941

10,743

2

RPX

18

377

108

1,973

3

グーグル

3

173

96

4,680

4

サムスン

10

120

72

1,922

5

アカシア・テクノロジーズ

9

46

66

1,600

6

アップル

2

8

49

1,890

7

コンバーサント(モーセッド)

0

0

36

957

8

インテレクチュアル・ディスカバリー

6

131

36

729

9

テセラ・テクノロジーズ

5

266

33

652

10

Wi-Lan

4

522

29

1,224

11

アライド・セキュリティー・トラスト

3

125

31

503

12

オープン・インベンションズ・ネットワーク

2

22

29

212

13

楽天

2

113

27

659

14

マイクロソフト

4

77

23

538

15

インテル

1

20

22

831

 

その他の売り手 (1,502)

241

7,770

2,111

39,317

事業会社の中では、96件の取引、4,680件の資産を購入したグーグルが最大のバイヤーだった。モトローラのトランザクションは企業買収がらみであり、分析対象から除外している。サムスンとアップルも多数の資産を買収したが、その大部分がコミュニケーション、家電関連だ。進行中の訴訟がこれらの買収を加速したのは想像に難くない。日本の楽天は2012年、2013年に積極的な買収姿勢で25件の特許取引を行った。楽天は世界的規模の事業展開を急速に進めており、AT&T、NEC、パナソニック、JVCケンウッド、大学その他の売り手から特許を次々に買収し、ポートフォリオの知財ギャップを埋めている。

表4は、2014年上半期の取引資産数に基づくトップバイヤー15社を示す。この中で、オプティス、ツイッター、IPBridge、サウンドビュー・イノベーションズ、フューチャー・リンク・システムズ、インテリジェント・エナジーの6社は新規バイヤーである。2014年には 145社の新規バイヤーが登場し、合計4,814件の資産を購入した。インテレクチュアル・ベンチャーズは2014年上半期に62件の取引を行い、2013年通年の総数を上回った。特許ホールディング会社のオプティスは、エリクソン(777資産)、パナソニック(169資産)、LG エレクトロニクス(83資産)からそれぞれ特許ポートフォリオを取得した。オプティスの真の正体は不明であるが、ニューヨークに拠点を置くリミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LLC)であり、25億ドルの資産を運用するヘッジ・ファンド、ハイブリッジ・キャピタル・マネジメントと所在地が同一である。

表4. 2014年のトップバイヤー15社と取引資産数

No

売り手

2014年上半期

2013年

取引数

資産

取引数

資産

1

クアルコム

2

1,418

6

126

2

インテレクチュアル・ベンチャーズ

62

1,061

57

1,656

3

オプティス

3

1,029

0

0

4

ツイッター

1

943

0

0

5

IP Bridge

1

857

0

0

6

Wi-Lan

4

522

4

96

7

RPX

18

377

22

403

8

ARMホールディングス

2

300

0

0

9

テセラ・テクノロジーズ

5

266

4

15

10

フューチャー・リンク・システムズ

1

211

0

0

11

サウンドビュー・イノベーションズ

1

258

0

0

12

グーグル

3

173

21

837

13

インテリジェント・エナジー

2

143

0

0

14

ソニー

3

140

1

2

15

インテレクチュアル・ディスカバリー

6

131

25

441

 

その他の買い手 (1,502)

258

3,002

442

7,857

小規模取引が主流

通常大規模な特許取引にマスメディアなどで注目が集まるが、実際には、全体の78%の特許取引の資産数は10件未満である。資産数が5件以下の取引は2010年で全体の71%、2014年で全体の60%を占める。一方、資産数が50件以上の取引は2014年全体の10%を占め、2010年の3%と比較すると近年大型取引の増加が顕著である。表5が示すように、本リサーチにおけるトップ15の取引登録年度の内訳は、2014年上半期が5件、2010年は2件、2011年と2012年は3件、2013年は2件であった。

表5. 2010年以降の取引資産数トップ15

No

売り手

買い手

米国資産

登録年

1

ノーテル・ネットワークス

ロックスター・コンソーシアム

3,786

2011

2

マイクロン・テクノロジー

ラウンドロック・リサーチ

3,681

2010

3

IBM

グーグル

2,379

2011

4

ヒューレット・パッカード

クアルコム

1,408

2014

5

イーストマン・コダック

インテレクチュアル・ベンチャーズ

1,198

2013

6

IBM

ツイッター

943

2014

7

ロックスター・コンソーシアム

アップル

902

2012

8

パナソニック

IP ブリッジ

857

2014

9

エリクソン

アンワイヤード・プラネット

822

2013

10

ヒューレット・パッカード

サムスン

820

2011

11

イーストマン・コダック

グローバル OLED テクノロジー

778

2010

12

エリクソン

オプティス

777

2014

13

IBM

フェイスブック

696

2012

14

アメリカン・エクスプレス

インテレクチュアル・ベンチャーズ

685

2014

15

アルティチュード・キャピタル・パトナーズ

RPX

572

2012

資産の売却が最終段階ではない。次の段階の調査にも価値がある。AST、OIN、インテレクチュアル・ディスカバリー、PRXのような組織あるいは同様のストラテジーを持つ事業会社がデフェンス理由で特許を買収しているように、一部のバイヤーの買収理由は恐らく防御的なものだろう。しかし、資産の収益化を目的に買収している企業もある。我々のリサーチ対象の全取引資産のうち、米国の1,570件の特許は4,393件の特許訴訟に関与している。これらの訴訟の87%、あるいは訴訟対象となった特許の75%は訴訟前に新組織に買収されている。訴訟には541の原告が関与し、その大部分は特許不実施主体であったのに対して、2,329の被告の大部分は事業会社だった。訴訟前に買収された資産に係る訴訟において上位にランクされる原告と被告のトップ15を表6に示す。

表6. 取引資産を用いた米国の訴訟件数トップ15社

件数順

被告

件数

1

アップル

65

2

AT&T

65

3

サムスン

52

4

ベライゾン

51

5

ヒューレット・パッカード

48

6

LG

44

7

アマゾン・ドット・コム

43

8

ソニー

42

9

東芝

41

10

デル

40

11

HTC

39

12

スプリント

37

13

T-モバイル

33

14

ノキア

33

15

ブラックベリー

33

件数順

原告

件数

1

アカシア・テクノロジーズ

148

2

ノベルポイント

135

3

ウィンコム

129

4

パシッド・グループ

109

5

エクリプス IP

95

6

ブランディワイン・コミュニケーションズ・テクノロジーズ

85

7

トーンソーラ・グループ

77

8

マラソン・パテント・グループ

76

9

ビーコン・ナビゲーション

74

10

インテレクチュアル・ベンチャーズ

73

11

ユニロック

66

12

イノベイティブ・ワイヤレス・ソリューション

64

13

オリビスター

60

14

ユビコム

60

15

ソニック・インダストリー

45

この表に含まれる組織の一部は最もアクティブな売り手でもある(AT&T、ヒューレット・パッカードなど)。いかなる事業会社でも知財資産の売却を計画する際は、売却先と売却目的を一考する価値がある。大手事業会社は業界が最終的に直面する訴訟の件数の一因となっているだろうか?

機会と試練

要約すると、このリサーチから幾つかの結論が浮かび上がってくる。第一に、過去数年の特許市場の低迷後、2014年は取引件数とその資産数において過去最も取引が盛んな年になる可能性がある。次に、ほとんどの売り手は事業会社であり、とりわけ大企業の取引が盛んである。また最も活発な買い手は特許ホールディング会社であり、一部の会社では自身のライセンス供与と訴訟活動を活発化させている。第三に、長い間活動が下火であったアジアの買い手は大幅に活発な動きに転換した。今後アジア市場はさらなる調査を行う価値がある。

事業会社は機会と試練に直面している。 十分に活用されていない資産を有する場合、売却による収益化の機会がある。しかし、他の事業会社によって売却された資産と競争する可能性を考えると、試練にも直面する。潜在的取引数は膨大であり、市場を監視することは 非常に困難なタスクとなる。しかし、事業会社を相手取った特許不実施主体による訴訟の多くは市場で買収した資産に関与するため、事業会社にとっては自己の資産の収益化(企業戦略に沿ったものである場合)と同時に、売り出し中の資産を検討する戦略が非常に大切である。

行動計画

セカンダリー市場は十分に活用されていない知財資産の価値を引き出す手段として引き続き人気がある。同市場に関し留意すべき幾つかのキーポインを紹介する。

特許ホールディング会社に売却された資産の大部分は事業会社に由来すると理解すること。

取引資産に対する訴訟を回避するため、事業会社はセカンダリー特許市場を監視する戦略を有すべき。

活動が活発化しているアジアの売り手に特に注目すべき。

バイヤーの多くは有名企業である一方、新規参入企業も毎年出現している。

ミヒル・パテールはアライド・セキュリティー・トラスト のテクノロジー担当バイスプレジデント、リンダ・ビエルは同社のビジネス デベロップメント担当シニアバイスプレジデントである。

Unlock unlimited access to all IAM content